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サッカー観戦とARは相性が良すぎ。
松本山雅のスタジアム“拡張”計画。 

text by

茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/10/01 07:00

サッカー観戦とARは相性が良すぎ。松本山雅のスタジアム“拡張”計画。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

アルウィンでの「超体験ツアー」に参加した松本サポーター。ロッカールームの様子を映し出されると歓声が挙がっていた。

「地域全体の人の流れを変えることもできる」

 将来的には試合中にARを使用し、各選手のトラッキングデータなどを提供する可能性もあると、ARゴーグルを開発しているセイコーエプソンの津田敦也氏は話していた。その津田氏に実際に話を聞き、参加してみることで意外な点に気づかされた。

 1つ目はアウェーサポーターに向けて、松本市内を中心としたホームタウン周辺の情報発信に繋がるのではないかという点だ。遠路はるばるアウェーに訪れることを“趣味”としている各クラブのサポーターが多い。その人たちをターゲットにARを活用していくことも考えているという。

 実際、津田氏は以下のように語っている。

「クラブ活動をさらに大きくすると同時に、地域全体の人の流れを変えることもできるのではないかと考えています」

アウェーサポーター、地元ファンで使い分けられる。

 この日はホームサポーター向けのイベントとして行われたが、今後はアウェーサポーターにも貸し出すプランがあるという。熱心なファンが多いことで知られる松本サポーターはリピーターとして訪れる人数が多い一方で、「首都圏、東海圏などからも数時間かかる」(津田氏)アルウィンに訪れるアウェーファンはスタジアム、そして松本市内の土地勘がない。

 そこでARを活用すれば、名物の「山賊焼」などお勧めのスタジアムグルメの場所まで、“一見さん”でも迷ずにたどり着けるようになる。またアルウィン以外にも松本市内や諏訪湖など周辺自治体の観光施設を紹介するなどの仕掛けを作り、“観光のためにもう1泊しようかな”との意欲を生めば、サッカーをベースにしたツーリズムにつなげられるのだ。

 2つ目はARならではの臨場感と驚きだ。これも津田氏の言葉を借りる。

「サッカーにとどまらず、ここ最近は日本全国でスタジアムでスポーツに限らず、食事や家族サービスなどの楽しみ方を用意する、いわゆるボールパーク化する動きがあります。それには設備投資が必要となるケースが多いですが、ARを使うことでクラブ側が保有している写真や映像など、様々な“無形の資産”を活用できます。それは現実と組み合わせたりするなど、工夫ひとつで思いがけない魅力に変化するのでは、と感じています」

【次ページ】 イギリスでもVRを活用した“ドッキリ”が。

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