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米バスケ6校が奨学金オファー。
テーブス海が味わった苦労と進路。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byYoko Miyaji / the Toews family

posted2017/10/02 08:00

米バスケ6校が奨学金オファー。テーブス海が味わった苦労と進路。<Number Web> photograph by Yoko Miyaji / the Toews family

春から夏にかけて行われるAAU大会では、NCAAコーチ陣の目も光る中、アグレッシブなプレーを見せた。

「アメリカでは、アジア人選手の評価はすごく低い」

 渡米後、1年たってもD1の奨学金をもらえなかった時には、頻繁に電話やテキストメッセージで息子の相談に乗った。奨学金のオファーを得るのに時間がかかった理由のひとつに、アジア人選手に対する偏見もあったのではないかと推測する。

「アメリカでは、アジア人選手の評価はすごく低い。まったくリスペクトされていないから、コートに出てきたら、すぐに標的にされる。ジェレミー・リンと同じようなものだ。

 多くの困難に直面しても、自分に自信を持ち、立ち直り続けることが大事だった。海はベンチに下げられたりもしたけれど、それでも負けずに挑んでいった。同じ経験をしたら、諦めたり、より簡単な道を選ぶ子も多いのではないかと思う。それでも彼は挑み続けた。だから結果的に成功できたのだと思う」

 テーブスにとって、いつでも相談に乗ってくれて、しかも自分を慰めたり、褒めたりするだけでなく、冷静なアドバイスをくれる父の存在は大きかった。

「父はいつでも僕の一番のファンで、一番のサポーターで、それでいて、最初に批判してくれる人でもあるんだ。父の言葉はいつでも信頼している。いつも、僕が聞くべきことを言ってくれる。アメリカでは、コーチたちはほとんどの場合、僕が聞きたいことを言うか、彼らが言いたいことを言うかどちらかだ。でも父は、いつでも僕のためを考え、僕にとって最善のことを言ってくれる。そんな父がいて本当に好運だと思っている。だから、いつでも父に最初に伝えているんだ」

将来的には日本代表として世界と戦いたい。

 父は言う。

「この2年の経験で一番よかったことは、海が大人になったことだと思う。何でも自分でやらなくてはいけなかったんだ。学校の登録から何から、すべて自分でやっている。今振り返ると、海がアメリカに渡ったのは100%正しい決断だったと思う」

 渡米して、アメリカでの活動に重点を置いたことで、ひとつだけ諦めたことがある。U18、そしてU19日本代表として世界と戦うことだ。夏の間は、日本代表の活動よりも、大学コーチたちに見てもらえる機会の多いアメリカでの試合を選んだからだ。しかし、3年後に迫る東京五輪を含め、将来的には日本代表として世界と戦いたいという気持ちは強い。

「僕を必要としてくれるのか、代表に呼んでもらえるのかはわからないけれど、僕ができるのは、こっちで最善を尽くすこと。そして、呼ばれた場合にチームに貢献できるように準備しておくことだ」

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テーブス海

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