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F1ホンダ提携解消、その本質は。
「研究所」と「青山」に距離はないか。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2017/09/24 08:00

F1ホンダ提携解消、その本質は。「研究所」と「青山」に距離はないか。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

「現役最強」のアロンソを擁しながら、'15年はコンストラクターズ9位、'16年は6位。今季も9位に沈み、マクラーレンはホンダに愛想を尽かした。

決定権は「青山」ではなく「研究所」にあるべき。

 これは、ホンダのF1活動に独特の伝統が存在するためだ。F1活動を直接行っているのは、株式会社本田技術研究所、いわゆる「研究所」。その研究所が行うF1活動に対して金銭的な支援や、マーケティング活動を行なっているのが本田技研工業株式会社、いわゆる「青山」だ。

 しかし、F1に関する重要な決定は青山で行われている。本来は実際にF1活動を行なっている研究所に決定権を与えるのが望ましいが、それが無理なら少なくとも現場に来ている者に決定権を与えるべきだろう。

 今回ホンダはマクラーレンとの提携を解消した後、トロロッソへの供給を決めたが、そこには国際自動車連盟であるFIAと、F1の興行を司るリバティ・メディアが2018年のパワーユニット変更に関する期限をホンダの決定まで猶予する、という異例のサポートがあったことを忘れてはならない。

 生き馬の目を抜くF1の世界の契約ごとは日々変わるため、決定権を持っている者がその場にいることが重要となる。ホンダの決定権者は誰なのか? 責任の所在を明らかにする意味でも、決定権を明確にしておくべきだろう。

 マクラーレンとの提携解消を発表した5分後、2018年からのトロロッソへのパワーユニット供給が発表された。だが真に変わるべきは、供給先ではなくホンダ自身だ。そうでなければ、マクラーレンとの3年間と同じ轍を踏むことになるのだから。

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