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もっとスーパースターになってやる。
“次期WWE王者”中邑真輔の新世界。 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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photograph byEssei Hara

posted2017/09/19 17:00

もっとスーパースターになってやる。“次期WWE王者”中邑真輔の新世界。<Number Web> photograph by Essei Hara

中邑が日本で築き上げてきた心技体のそのすべてが、全米で高い評価を受けている。中邑の米国メジャー団体制覇の野望、なるか?

G馬場、A猪木、藤波……誰も米国一にはなれなかった。

 急ぐことはないが、日本人初のWWE王者の誕生が近いことは間違いない。

 人間発電所ブルーノ・サンマルチノの時代から超人ハルク・ホーガンまで、団体の名前こそ変わったが、その時代の王者に、ジャイアント馬場、アントニオ猪木、坂口征二、藤波辰爾らが挑んできた。

 だが、“公式に”王者になった者は1人もいない。

 WWF時代、1979年11月に徳島で猪木が王者ボブ・バックランドにバックドロップで勝ってベルトを巻き、同年12月に王座防衛戦(無効試合)を蔵前国技館で行ったが、WWEのタイトル変遷史の記録にそれらは残っていない。

 日本人がWWEの王者になるのはそれくらい難しいのだ。

凄まじいスピードで中邑を巡る環境が変化している。

 昨年12月の大阪、中邑はまだWWEの2軍とも言えるカテゴリーの「NXT」にいた。NXT王座こそ奪取したが、最終目標はそれではなかった。

 今年4月、NXTから1軍に昇格してスマックダウンのスーパースターになった中邑の状況は急速に変化した。

 スローテンポに感じたNXT時代が普通列車の旅なら、スマックダウンの今はリニアモーターカーや超音速旅客機に乗ったような気分だろう。

「スマックダウンの一員として日本に帰ってくることができたことを誇りに思う。少し前まで、予想もしなかったことが、すごいスピードで起きている。WWEに来てよかった」

 中邑は感慨深げに、そう口にした。

【次ページ】 日本とアメリカ――同世代の選手には親近感がある。

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