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柏木陽介がACLの大逆転劇を語る。
10番の意地に浦和サポーターが……。
 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2017/09/14 17:00

柏木陽介がACLの大逆転劇を語る。10番の意地に浦和サポーターが……。<Number Web> photograph by AFLO

浦和レッズの10番柏木陽介は、長らく勝負弱い選手と言われてきた。しかし、この日の彼は勝負どころを見極める力を存分に発揮していた。

批判も多い柏木に、この日は大きなコールが。

「柏木オレ!」

 マンオブザマッチの表彰を終えた柏木に、ゴール裏のサポーターが力強いコールを送った。

 結果が出ないとき、インターネット上などで、柏木を戦犯として名指しする書き込みなどを目にすることは少なくない。不甲斐ない結果を責められるのは、プロなのだから当然と言えば当然でもある。しかしだからこそ、強い存在感を見せつけた試合のあとには心からの称賛が贈られる。そんな清々しいシーンだった。

「自分の力を証明できた試合だったんじゃないですか?」と最後に柏木に訊いた。

「他の選手が出ても、いいプレーをしたと思うから。自分の良さを出しながら、周りの選手と連係して、いいプレーができればいいといつも考えている。僕は周りに活かされる選手。そうして初めて、周りを活かすことができる。そういうプレーを続けたい」

 歓喜に酔うというよりも、淡々と試合を振り返る柏木だった。

「そういうなかで、俺らは自陣へ引いている状態でよいプレーができるかっていうとそうでもない。それがファーストレグの結果だった。もちろん川崎は本当にうまかったけどね。俺らはやっぱり前から前からいかないと」

 シーズン序盤は連勝で走った。しかし、歯車が狂うと失点を重ね、連敗ドミノが止まらなかった。監督交代を経て、浦和レッズは現在に至っている。前向きさと明るさはチームの原動力であり、個性だ。柏木のいう通り、その前向きさが、試合の流れを引き寄せたのかもしれない。しかしそれ以上に、普段通りに戦えたことが一番の勝因だったのだろう。

 済州戦での逆転勝利で、「原点回帰」に成功したようにも見えた浦和だったが、現実はさらに厳しい状況に陥った。

 では、今度はどうなるのか。司令塔柏木のプレーが大きなカギとなる。

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