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完璧主義から、一日一善への変化。
オリ西野真弘が田口壮に言われた事。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2017/09/12 07:00

完璧主義から、一日一善への変化。オリ西野真弘が田口壮に言われた事。<Number Web> photograph by Kyodo News

1年目の3割はまだ遠いが、西野真弘の調子は確実に上向いている。楽しそうであることは、プロ選手にとって重要なことだ。

田口壮が伝えた「一日一善」という考え方。

 しかしそれから約半月後、一軍に復帰した西野の表情はどこか吹っ切れたように明るかった。打撃が大きく変わったわけではなかったが、気持ちに変化があったと言う。二軍の田口壮監督の言葉がきっかけだった。

「田口さんに、『もっと楽しめ。自分で自分を追いつめるな』と言われました。ちょっとしたひとことですけど救われました。ありがたかったですね」

 田口二軍監督にその言葉の真意を聞いた。

「西野という選手は、出たら全部ヒットを打ちたい、4の4、5の5打ちたいタイプなんです。でもそれだと苦しくなる。僕の考えとしては、“一日一善”でいいんですよ。それを伝えました。例えば、ヒット1本打ちました、フォアボール1個取りました、で十分なんです。どんなに調子が悪くても、最低限1日1個送りバントを決めるとか、それもダメな場合は守備で1個いいところがあったらオッケー。で、たまたま打てるやつが2本3本打つ。それが9人合わさっていけば、点になっていくし、勝ちにつながっていく。

 だけど西野は自分をどんどん苦しめているからもったいない。確かに苦しいですよ。プロの世界で、自分1人の体だけでやっていくわけだから、楽なことなんて絶対にない。でもその苦しみは楽しみに変えていかないと、もったいない。その苦しみを楽しめと。せっかく好きな野球が仕事になってやっているわけだから」

 実は田口監督自身も「完全な完璧主義者」だと言う。しかし現役時代、オリックスのヘッドコーチだった中西太氏に“一日一善”の考えを植え付けられた。

二軍監督として、人に伝えるのは初めてだった。

 ただ、二軍監督としてその考えを伝えたのは西野が初めてだった。

「福良監督の考えというのがあるので、一軍の選手にあまり僕の考えを押し付けたくはないんです。でも西野はあまりに苦しんでいたので……。

 ファームの選手には言いません。まだそういうレベルじゃないから。下の子たちにはもっとガツガツしてほしい。ちょっといいプレーをしただけで満足してもらっちゃ困りますからね(笑)」

 西野は、「暗い気持ちで悪い方にばかり考えず、ポジティブに考えていけば野球が楽しくなるというのはすごく学べました。結果が出ればもっと楽しくなるので、はやく結果を出して、また楽しく野球したいですね」と語っていた。

【次ページ】 「僕はもうメインの選手じゃない、泥臭く」

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