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吉田麻也とエディー・ジョーンズ。
意外な2人の親密で敬意ある関係。 

text by

松本宣昭(Number編集部)

松本宣昭(Number編集部)Yoshiaki Matsumoto

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/09/08 12:50

吉田麻也とエディー・ジョーンズ。意外な2人の親密で敬意ある関係。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

エディー「指導者とは、孤独な職業なのです」

 今年3月、エディーはサッカー・イングランド代表の合宿に招かれ、講演を行なった。サウサンプトンからは、5人の選手がこの合宿に参加していた。後日吉田がチームメイトに感想を聞くと、それまでエディーのことをよく知らなかった選手たちが「すごく良かった」と絶賛していた。吉田はすかさず、エディーにメッセージを送った。

「ぜひ、日本代表でもスピーチしてください」

 エディーからは「OK。ぜひやるよ!」と返事をもらった。残念ながら日程の都合が合わずまだ実現していないが、吉田本人はその日が来ることを心待ちにしている。

 吉田麻也と、エディー・ジョーンズ。競技も国籍も、顔も体型も全く異なる2人だが、その言葉に耳を傾けると、自身の仕事に対する考え方には、共通点が多いように思う。かつてエディーはNumber本誌でのインタビューで、自身の指導哲学についてこう語っている。

「指導者とは、孤独な職業なのです。指導者と選手は同じ気持ちをシェアすることができません。絶対にね。たとえば選考漏れした選手と、その決断を下した私が同じ気持ちになれるはずがない。そんなことは指導者の道を選んだ時点でわかりきっている話でしょう。逆に聞きたいですね。選手たちから孤立して、何の問題があるのかと。むしろ、孤立しないといけないのです。

 たとえばイングランド代表のヘッドコーチとして、キャンプに30人招集する。月曜日には30人の選手全員に『君が必要なんだ』と声をかけ、ハードワークにあたらせる。しかし木曜日にはそこから7人を落とし、23人のメンバーを選ばないといけない。感情的に距離を置いておかないと、そんなことできないでしょう。感情を切り離すことによって、自分の仕事に集中できる」

吉田麻也が取り組む「自分への集中」。

 一方の吉田は2015-16シーズン以来、メンタル改革に励んできた。

「過去は取り戻せないし、未来はわからない。それならば今、自分にできるこの1プレーに集中しようと意識しているんです。車の渋滞のように、自分ではどうしようもないことは起こる。どうしようもないことに焦っても仕方がないし、集中力も乱れる。

 たとえば自分が試合に出られないとします。そのとき監督に『なんで使ってくれないんだ』と聞きに行くことはできる。これで課題は発見できるかもしれないけど、最終的に試合に使うかを決めるのは監督だから、根本的なところは変えられない。だったら、自分自身の行動で変えることができる、目の前の練習や試合でのプレーに集中しようって考えています」

【次ページ】 自分でコントロールできる“日常”の重要性。

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