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日本がW杯8強以上を狙うために。
今の武器はまだリアリズムなのだ。 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/09/10 09:00

日本がW杯8強以上を狙うために。今の武器はまだリアリズムなのだ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「華麗な崩し」という響きは甘美である。しかしそのレベルに達する代表は世界でも数少ない現実を見つめるべきだ。

親善試合は、当たり前だが最高のカードを。

 そして当たり前のことだが、残りの親善試合にはできるかぎり最高のカードを用意してもらう。たとえば、2022年までに'66年以来のW杯優勝を本気で狙うイングランドは、本大会行きが決まりかけた段階で、11月にドイツとブラジル、3月にイタリアとオランダとの強化試合を日程に入れるべく調整に動いた。

 日本が10月にニュージーランドとの親善試合を組んだのは、相手が翌月に予選のプレーオフを控えていることを考慮すれば、悪くないかもしれない。だがその後、11月と3月の合計4試合ではぜひとも一線級と対峙してほしい。できればアウェーで、本戦に出場する真の強豪と。

「あなたにそんなこと言われなくても、もうとっくに動いていますよ」とマッチメイクに携わる方々が思ってくれているといいのだけれど。

長谷部の言う「新しい競争」が続いていけば。

 そして僕らファンやメディアにもできることはある。声や想いで力を与えたり、眠っているところを起こしたり、よくなることを信じて辛いことを言ったり。

 ハリルホジッチ監督にも我々日本人にも、世界のベスト8は未踏の地だ。本当の意味合いにおいて、勝利も成功もそこにある。ただ率直に言って、今の力でそこにたどり着くのはニュートラルに見て難しそうだ。サウジアラビア戦はモチベーションが見出しにくかったはずだが、いずれにしても予選を黒星で終えている。

 それでも僕らは信じるしかない。出場権を獲得した直後に長谷部誠が言った「新しい競争」が続いていけば、きっともっと強くなるのだと。それが熾烈であればあるほど。

 真の目標へ、大事な時の粒を積んだ砂時計が回った。

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