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現代サッカーにおいて、代表とは。
ハリル監督が示した新たな「定義」。
 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/09/06 17:30

現代サッカーにおいて、代表とは。ハリル監督が示した新たな「定義」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ハリルホジッチ監督はW杯最終予選で、歴代のどの監督よりも多くの選手を起用した。

ハリルホジッチ監督も、選手に個人能力を求めている。

 必然的に、ハリルホジッチ監督が日本代表選手に要求するレベルも、そんなCLレベルを追い求めることになる。

 最終予選の全ての試合に出場し、最多4ゴールを決めた原口はこう語っている。

「監督にとって、レギュラー(を固定する)という考え方は本当にないから。アルジェリアの監督だったブラジルW杯の戦いを見ても、全試合メンバーが代わっている。俺がどれだけ調子がよくても、相手によって代えたりもする」

 あるいは、オーストラリア戦後に言われるようになった「世代交代」というキーワードについて、キャプテンの長谷部はこう話している。

「長い間、中心選手が変わらなかったと言ったらあれですけど……。同じ選手がずっと試合に出てきたという事実があるので、世代交代と感じる部分はあるのかもしれないです。ただ監督は、とにかくコンディションが良い選手を使うというのがハッキリしているので。あとは戦術に合うかどうかですね。そこに本当に年齢は関係ないと感じます。

 世代交代というよりは、若い選手も出てきて、今までの実績というかそういうの関係なく、すごい正しい競争がなされている気がします」

 選手に求められているのは、まず個の能力を高めること。そして、チームのルールを大きく逸脱しないなかで「我」を出すことだ。

ハリルホジッチ監督は、代表の定義を変えた?

 ハリルホジッチ監督がW杯予選の中で日本代表にもたらしたのは、世代交代でもないし、偉業でもない。

 むしろ、現代サッカーにおいて、代表チームとはどういうものかを定義づけたと言えるだろう。それは世界のトレンドとも一致している。

 たとえばドイツ代表は現ワールドチャンピオンで、Bチームでコンフェデレーションズカップを制してしまう力がある。しかしそれは、ブンデスリーガが上手くお金を集める仕組みを作れなかった結果、外国の優秀な選手や監督がドイツに来ず、国内で若い選手や指導者たちがチャンスを得られた結果だ。

 そしてドイツ代表はこれほど結果を残していても、興行面ではブンデスリーガのような集客ができずに苦しんでいる。

【次ページ】 その国の地力を離れて、代表だけの進化などない。

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