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3回戦で敗退したけど……人気爆発!
全米OPで世界を魅了した大坂なおみ。 

text by

山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2017/09/06 08:00

3回戦で敗退したけど……人気爆発!全米OPで世界を魅了した大坂なおみ。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

力感溢れ、恐れを知らぬアグレッシブなプレースタイルに、世界中のテニスファンが熱狂した!

「もう泣かない」と誓ったはずが……。

 昨年の全米オープンの3回戦で最終セットの5-1から逆転負けを喫した大坂は、試合中にパニックになって涙を流したことの教訓として「もう泣かない」と大会前に笑顔で誓っていたのだが……結果的に、それを守ることはできなかった。

 3-6、6-2、5-7の惜敗。

 イージーなバックハンドをミスした場面が大きなターニングポイントとなり、その後、ベンチで涙を拭う大坂の姿があった。

 記者会見でも涙がこみ上げ、マネージャーが会見場の隅から「あと1問で勘弁して」と司会者に合図を送った。

世界中から注目を浴びる、大坂なおみの魅力。

 こうして大坂の2度目の全米オープンは終わったのだが、今大会は、人を惹き付ける彼女の魅力を再確認できた大会でもあった。

 3回戦を戦った、1100席ほどしかないコートには立ち見の観客があふれ、両隣のスタンドの観客も正面コートの試合など見ずに、首を横に向けっぱなしで大接戦の行方を見守っていた。大坂はそのスタイリッシュなルックスと超アグレッシブなパフォーマンスで、ファンの心をしっかり掴んでいた。

 2回戦では、記者席でないところに筆者が座っていると……1人の女性の観客が冗談めかして「リチャードにはもう1人娘がいたの?」と話しかけてきた。

 リチャードとは、ウィリアムズ姉妹――ビーナスとセリーナの父親の名前である。

 あのルックスとパフォーマンスで名前の横に「JAPAN」と表記されていたり、日の丸がついていたら誰でも興味を持って当然だ。

 父親がハイチ出身のアメリカ人であることや、3歳で日本を離れてニューヨークに移ったこと、今はフロリダで暮らしていることなど、彼女のバックグラウンドを話すと、それが彼女の連れに伝わり、また隣の人に伝わっていく……きっと、そんな光景がスタンドのあちこちで起こったのに違いない。彼女自身の情報の拡散とともに、大坂への声援がいっそう増していく……といったような雰囲気になっていた。

【次ページ】 大坂なおみが「いつも日本人だと感じる」理由。

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