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NBA新シーズンを前に大型トレード。
カイリーが東京で明るかった理由。 

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長澤壮太郎

長澤壮太郎Sotaro Nagasawa

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photograph byBrian Babineau/NBAE via Getty Images

posted2017/09/05 11:00

NBA新シーズンを前に大型トレード。カイリーが東京で明るかった理由。<Number Web> photograph by Brian Babineau/NBAE via Getty Images

9月1日、ボストン・セルティックスの新入団選手会見で。カイリー・アービング(左)とユタ・ジャズから移籍したゴードン・ヘイワード。

移籍希望リストの4チームによって、深まった謎。

 さらに謎を深くしたのが、チームに伝えたとされる移籍先の希望リスト。

 サンアントニオ、マイアミ、ミネソタ、ニューヨークの4チームと伝えられた。ニューヨークは地元が近いからお情けでリスト入りしたとされているが、他3チームは組織力の高いバスケットを展開するスタイルを実践している。自分がスターになってワンマンチームを作る環境としては適してない(その解釈で言ったら、組織が迷走しているニューヨークが一番適しているが……)。

 そこで彼の求める“自分に焦点”という部分に注目が向き始めた。

 それを解明するのにあがった意見の多くが、“サイドキック”としての役割からの脱却だった。アメリカでは、sidekickは“相棒”とか“相方”という意味で使われる。

 往年のシカゴ・ブルズで例えるなら、MJに対してのピッペンといったところだ。

レブロン加入直前まで、カイリーが中心のはずだった。

 現在世界一の選手であるレブロンの影響力は、コート内外で絶大だ。

 2014年7月、レブロンが故郷に帰ると宣言したその時から、オーナーを筆頭にクリーブランドという街全体がレブロンを中心に運営されてきた。それは当然のことだった。

 しかし、実は直前まで球団は違う方針を発表していた。

 ジェイムズ王がキャブスへの復帰を宣言した日よりも11日前に、チームはカイリーと長期の大型契約を結び、彼に球団の将来を任せる方針を打ち出していた。

 その後、王の帰還が決定し、後は周知の通りである。カイリーも快くレブロンを迎え入れ、チームは歴史上初めてNBA王者に辿りついた。

 ドラフト1位指名でリーグに入ったカイリー。契約を結ぶ際、球団から彼を中心に展開する様々な戦略が提示されたことは間違いないだろう。ヨーロッパで実績があり、チーム戦術に長けているブラット氏が監督に採用されたのも、レブロンのためではなく、若手中心のチームに合わせてのことだった。

 カイリーからしてみれば、球団から自分に約束されたプランが、レブロンの帰還によって一瞬で窓の外に放り出された感覚だったかもしれない。

【次ページ】 サイドキックの役割から脱却したいという想い。

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