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メイウェザー対マクレガーを考える。
あの試合は“ボクシング”だったのか。 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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posted2017/08/31 11:00

メイウェザー対マクレガーを考える。あの試合は“ボクシング”だったのか。<Number Web> photograph by AFLO

1試合でファイトマネーとして、メイウェザーが330億円、マクレガーが110億円を得たと言われている。

UFCのトップは、今後のボクシングへの参戦に否定的。

 プラスチェク記者は「お金を払う価値はあった」とも書いている。これが純粋な試合というよりはショーであり、究極に豪華なエキシビションだと考えれば、あるいは悪くない夜だったかもしれない。

 メイウェザーも、マクレガーも、懸命におのれの役割を演じ、ファンにある程度の興奮とスリルを提供した。稀有な実力とキャラクターを持つ2人のスター選手によって、前代未聞のショーは、何とか体裁を整えたと見ることはできるだろう。

 UFCのデイナ・ホワイト代表は、今後、UFC選手がボクシングの試合に参戦することに否定的な見方を示したという。今回は特別だった。我々はオクタゴン(UFCの8角形リング)に戻るのだと。

 世界最大の総合格闘技団体のトップは、今回のような異例の手法が何度も通用するわけでないことを分かっているのだろう。メイウェザーvs.マクレガー戦を世に送り出し、UFCの知名度は、特にアメリカ以外の国で高まったに違いない。単純にお金というだけでなく、UFCにメリットはあった。

 これからは再び足元を見つめ、UFCというイベントをより充実させていくのだろう。マクレガーも本来の仕事場であるオクタゴンの中で、再び“本物のファイト”を披露していくに違いない。

 そしてメイウェザーは試合後の記者会見で「今度こそ本当に引退する」と宣言した。ボクシングファンにとって心穏やかな日々が、少なくともしばらくの間は戻ってきそうである。

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