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昌子「天国か地獄かの試合で強くなる」
川口や闘莉王も緊張したW杯予選。
 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2017/08/24 13:40

昌子「天国か地獄かの試合で強くなる」川口や闘莉王も緊張したW杯予選。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

今季リーグ戦第23節終了時点でフルタイム出場、警告も1枚のみ。昌子の安定感は国内組で群を抜いている。

昌子の最終予選初先発は「やりづらかったんです」。

 アジア最終予選での緊張感は、現役の代表選手にとっても同じ。

 昌子源は、6月13日のイラク戦で「ここ最近の試合では、一番緊張した」という。試合前、代表4キャップ目にして最終予選初スタメンに抜擢された彼に、チームメイトたちが次々と声をかけてきた。

「大丈夫か? 緊張してないか?」

「緊張せずにやれよ。頑張れよ」

 この状況に、昌子自身は難しさを感じていた。

「正直、やりづらかったんです。『大丈夫っすよ』って返しても、強がっているように見えるだろうし。僕はまだ代表に入ったばかりと言っても、Jリーグで10試合ぐらいしか出ていないような選手じゃない。100試合以上戦っていますから。でも、次の2戦は6月よりもすんなりチームには入れると思います。イラク戦に出場したことで、周りの目も変わったでしょうから、より自分らしいプレーができると思います」

 緊張とプレッシャーの乗り越え方は、千差万別。

 川口は「普段、Jリーグでやっているルーティンだったり、試合への持って行き方を、変えないこと。そして、『これは闘いなんだ』と強く思うこと」と語る。

 闘莉王は、「試合が始まって、ボールを触れば、自然と不安は消える。覚悟が決まるんです。確かにW杯予選の大一番は緊張するけど、その緊張が癖になるんですよね」。

「天国か地獄か。こんな試合、嫌いです。でもね……」

 では、昌子の場合はどうか。

「天国か、地獄か。こんな試合、嫌いです。できることなら、味わいたくない。でもね、こういう試合に憧れてもいました。

 センターバックは10本中9本を完璧に止めても、最後に1本決められたら批判に晒されるポジションです。だからこそ、プレッシャーが成長の糧になる。天国か地獄かの舞台で、僕自身はもっと強くなるはずですから。イラク戦の前は、緊張しました。オーストラリア戦の前も、緊張すると思います。でも、キックオフが迫れば大丈夫。『しゃあない。やるしかない。頑張ろう』って、自然となるんです」

 間もなく、「天国か、地獄か」の一戦が始まる。24歳で迎える大一番。鹿島で公式戦150試合以上を戦ってきた男の覚悟を、見せてやれ。

代表メンバー入りした昌子は2年前に戦ったACLで、現在オーストラリア代表の主力に成長した男とのマッチアップも楽しみにしている。W杯最終予選ラスト2試合に向けての意気込みはNumber934・935号「日本代表 運命の一戦。」で是非お読みください。
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