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ダルビッシュとドジャースの快進撃。
前田健太すら巻き込まれる生存競争。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2017/08/19 08:00

ダルビッシュとドジャースの快進撃。前田健太すら巻き込まれる生存競争。<Number Web> photograph by AFLO

好投したダルビッシュを迎え入れるカーショーらドジャースの選手たち。実力派の選手が揃うからこそ、チーム内に厳しい競争も存在する。

打率3割超、本塁打17のテイラーも1番として文句なし。

 今季のターナーは、6月19日に打率を3割9分9厘にまで上げて、全米を沸かせた。7月の不振で8月12日現在は3割4分4厘に下がったものの、MVPレースの有力候補であることに変わりはない。本塁打数も、昨年と同じ27本前後まで行くのではないか。

 さて、もうひとりのクリス・テイラーは、別人のように大化けした選手だ。過去3年間のOPS+平均値が約70だったのに、今季のOPS+は141。打率3割1分、本塁打17、盗塁数13は、一番打者として文句のない数字だ。主砲エイドリアン・ゴンザレスの長期欠場や期待株ジョク・ピーダーソンの伸び悩みを補ったのは、テイラーの成長といっても過言ではないだろう。

30球団ナンバーワンの四球数が、本塁打を生かす。

 最後にもうひとつ、今季のドジャースには、見逃しがたい強みがある。四球の数が、30球団中最も多いことだ。総数474個。2位のヤンキースが436個、3位のカブスとツインズが427個だから、これは他を圧している。

 この四球の多さが、本塁打を生かすことになった。169本の本塁打総数はナ・リーグ3位タイ(1位はメッツの172本)だが、ソロホーマーの多かった昨年と異なり、今季は走者を置いての本塁打が増えている。安打数(リーグ9位)の割に得点数が多い(リーグ3位)のもこの成果だろう。要するに、効率がよい。冒頭に紹介した投手陣のスタッツと組み合わせれば、事情はさらにはっきりする。ドジャースは、「最も多く四球を選び、めったに四球を与えない」チームなのだ。こういうチームは、大崩れしない。ポストシーズンを含めてあと2カ月半、中心選手に故障が発生しないかぎり、ドジャースにはビッグ・チャンスが巡ってきそうだ。

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