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マカべッシュが語るダルビッシュ。
東北高校野球部が1つになる日。 

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鈴木忠平(Number編集部)

鈴木忠平(Number編集部)Tadahira Suzuki

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photograph byGetty Images

posted2017/08/10 11:30

マカべッシュが語るダルビッシュ。東北高校野球部が1つになる日。<Number Web> photograph by Getty Images

真壁が見抜いていた、ダルビッシュの中にある信念。

 ダルビッシュと彼らは衝突した。

 真壁はその“間”にいた男だった。だから逆にダルビッシュが他のナインのことを「異質」だと思っていることも理解できた。

「難しかったですよねえ……。有という人間を理解していたので、仕方ないとも思うし。やっぱり高校野球はそういうものだというのもわかっていたので、奴にとっては非常識かもしれないですけど大多数の人間が常識と思うことをやらないといけないとも思うし……」

 また真壁は、ダルビッシュの一見、突飛に映る言動の裏には信念のようなものがあったこともわかっていた。

 真壁たちが最上級生になった時、どれだけ注意しても部のルールを破る後輩がいた。そして、ついに堪忍袋の緒が切れた彼らは決議した。“厳しい指導”を与えるしかない、と。

「誰がどう見ても後輩が悪いんです。100人中100人がこれは仕方ないという状況だったと思います。それでも有だけは最後まで『絶対にダメだ。それはアカンやろ』って……。良くも悪くも言動に芯があるんですよ」

 結局、主将であるダルビッシュは他のみんなを止めることができず、それからずいぶんと自分を責めていたという。

甲子園敗退後、誰しもの心に残ったチーム内での葛藤。

 高校の寮生活という濃密な時間の中で、彼らはお互いの違いに気づき、苛立ち、煩悶した。

 そして春夏ともに優勝候補と言われながら、9回2死、あと1アウトからの逆転負けや延長10回での敗戦などで甲子園から姿を消したのだ。

「最後までお互い理解し合えないものがあった。だから僕らの代は最後まで対立していたんでしょうね……」

 真壁に残った葛藤はおそらく、あのチームにいた誰の胸にも同じようにあったはずだ。

【次ページ】 「俺みたいな奴がキャプテンで本当に申し訳なかった」

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