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板東英二って実は凄い球児だった。
16回完投の2日後、延長25回完投。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2017/07/23 09:00

板東英二って実は凄い球児だった。16回完投の2日後、延長25回完投。<Number Web> photograph by Kyodo News

近年はゆで卵のイメージが強すぎるが、板東英二という人は日本野球界に一石を投じる役割を果たしていたのである。

板東らの投げすぎを、高野連も問題視した。

 この試合はスポーツ紙などでも取り上げられ、板東、石川の名前は一躍有名になったが、高野連は選手の健康面を問題視して、夏の甲子園から高校野球特別規則に以下の1項目を追加した。

22.延長回数の制限
 選手の健康管理を考えて延長戦は18回で打ち切り、後日改めて再試合を行う。(規則7.01)※2000年から延長戦は15回で打ち切り、再試合となる。

 新規則は同年夏の大会から適用された。

 その年の下馬評は板東と強打者・広野翼(のち阪急)らを擁する徳島商が本命だった。その通り、徳島商は快調に勝ち進んだ。

<全国高校野球選手権大会 徳島大会>
・2回戦 徳島商 7-0 小松島(7回コールド)
・準々決勝 徳島商 9-2 穴吹(8回コールド)
・準決勝 徳島商 1-0 鳴門
・決勝 徳島商 5-0 撫養

夏の甲子園に行っても引き分け再試合を経験。

 徳島商は順当に全国大会に駒を進め、1人で投げぬいた板東は大会屈指の好投手として甲子園でも獅子奮迅の活躍を見せる。 

<全国高校野球選手権大会>
・2回戦 徳島商 3-0 秋田商 17奪三振
・3回戦 徳島商 3-1 八女 15奪三振
・準々決勝 徳島商 0-0 魚津 25奪三振(延長18回、引き分け再試合)
・準々決勝再試合 徳島商 3-1 魚津 9奪三振
・準決勝 徳島商 4-1 作新学院 14奪三振
・決勝 柳井 8-0 徳島商 3奪三振

 板東は、この春、自分の投球がきっかけで導入された新規則の適用第1号になって、引き分け再試合をすることになった。相手の魚津(富山)の村椿輝雄も1人で投げ切ったのだ。そして翌日の再試合も村椿との投げ合う場面もあったが、板東は1失点で投げ勝った。

【次ページ】 「ぼくはあまり疲れてはいなかった」と意地を張った。

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