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15人全員使う、全打席フルスイング。
弱くても奇想天外な高校は魅力的だ。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/07/20 17:00

15人全員使う、全打席フルスイング。弱くても奇想天外な高校は魅力的だ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

大らかに最後の夏を楽しむ“普通の高校球児”も目にできる。地方大会の良さは、そこにあるかもしれない。

高校野球は洗練されていなくてもいいのでは。

 成田国際は続く3回戦で、伝統校の銚子商に0-12で敗れた。このことからも、甲子園に行くようなチームではない。ただ両校が展開した野球には、高校野球で常識とされがちなものと少し違うアプローチがあった。

「高校野球はこうあるべきだ」、「きっちりした野球ができないチームは、洗練されていない」などの言葉は、今も昔もよく聞かれる。

 そうした視線が高校野球の人気や注目度、戦術論などを高めてきたと感じる一方で、楽しみなチームが減って来たと年々感じるようになった。

 その一方で高校野球は、洗練されてなくてもいいのではないか、とも思う。

 思い切りスイングして空振りをする。いろんな選手が試合に出てきて躍動する。失敗がついてまわり、勝利の確率はそれで下がるかもしれないが、数々の失敗こそが将来への布石となるような気がしてならない。冒頭に記した通り、プロでも記録を狙った柳田がオールスターのホームランダービーを2日連続で制するのだから。

 奇想天外、常識を外れ、そんな高校球児、チームの姿が日本の野球界を明るくする。

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成田国際高校
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