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「俺は老人ホームに来たんじゃない」
31歳ルーニー、古巣復帰は美談か。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Images

posted2017/07/17 09:00

「俺は老人ホームに来たんじゃない」31歳ルーニー、古巣復帰は美談か。<Number Web> photograph by Getty Images

顔に刻まれた皺は年月を経たことを感じさせる。ルーニーは10代の頃と違う味わいを、古巣エバートンで醸し出せるか。

アーセナルの無敗記録に終止符を打った16歳の一撃。

 ルーニーにとって幼少時代の憧れは、地元エバートンのヒーローたち。巨漢ストライカーとして鳴らしたダンカン・ファーガソンだけではなく、カルト的人気を得たウインガーのアンデシュ・リンパルもアイドルとして挙げたことがある。自身が息子を持つ立場になると、1歳頃の長男カイ君にエバートンのユニフォームを着せた写真をツイッターで公開している筋金入りだ。

「ウェイン・ルーニー」の名が世界のサッカー界に轟いたのは、エバートンでのユニフォーム姿だった。2002-2003シーズンの開幕当初、当時16歳のルーニーは相手サポーターから「誰だ、お前?」とのチャントでピッチに迎えられた。しかし10節アーセナル戦で目の覚めるような逆転のミドルを炸裂させ、リーグ戦で30試合無敗を続けていた強豪に黒星をつけたのだ。

11歳の時、ファン驚愕のループシュートを決めた。

 エバートンの本拠地、グディソン・パークに集まるファンは、衝撃のデビューを果たす6年前からルーニーに強い愛着を覚えていたようだ。まだ彼が11歳のアカデミー所属選手の頃、リバプールとのマージーサイド・ダービーでマスコットボーイに選ばれた。選ばれた子供は試合前のウォームアップ中、自軍GKを相手にシュートを打たせてもらえる。

 普通なら選手が気を使って弱々しいシュートでもゴールを決めさせて挙げる形になる。ところがルーニーは別物だった。ペナルティエリア付近でボールを持つと、いきなりGKの頭越しにループシュートを決める。2本目もチップキックでシュートを放ち、ボールを見送るネビル・サウスオールを苦笑させたのだった。

 それだけに、エバートンを去られた際には裏切られたという気持ちが強かったのだろう。ユナイテッドの一員となったルーニーが初めてグディソン・パークに戻った'05年2月のFAカップ戦では、ブーイングがボールに触れる度に起こり、当時19歳の少年にはには残酷に思えた。その後のエバートン戦でルーニーが得点を決めるたび、胸にあるユナイテッドのエンブレムにキスをしていた。

【次ページ】 地元ファンからはここ近年「いつ帰って来るんだ?」

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