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天皇杯でJクラブに3連勝の筑波大。
謎の組織「パフォーマンス局」とは? 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byKyodo News

posted2017/07/15 11:30

天皇杯でJクラブに3連勝の筑波大。謎の組織「パフォーマンス局」とは?<Number Web> photograph by Kyodo News

相手が戦術を変えてきても……想定内だった。

 Jリーグのチームを続けざまに倒した試合も、相手の出方に対してピッチ上で選手達ひとりひとりが独自に考えて動き、かつ相手チームを徹底的に分析した戦術を組織的に行う……という両輪があったからこその結果だったのである。

 特にそれが顕著だったのがアビスパ福岡戦だ。

 当初のスカウティングでは3バックでくることを予想していた。しかし、いざ試合となり、整列後にピッチに散らばる福岡の選手を観て、筑波大の選手達はすぐに感づいた。

「4バックだ!」

 この瞬間、筑波大の選手達は言葉を交わしていない。だが、福岡が4バックであることをすぐに全員で共有できていたという。

「当然、福岡が4バックでくる可能性も事前に話をしていましたので。僕自身も相手が4バックと3バックの時とは、ビルドアップの立ち位置を変えようと思っていたので、対4バック用の立ち位置に移らなきゃな、と。もちろん、個人的な判断でした」(浅岡)

 筑波大のシステムは4-2-3-1。ボランチの浅岡はビルドアップの位置を微妙に高くした。特段、その考えを言葉で周りには伝えていない。しかし、「4バックの時点でビルドアップのやり方が変化するのは分かっていた」と、右サイドハーフの会津雄生も語るように、チーム全員が瞬時に浅岡の意図を汲み、見事に彼の動きに連動していた。

ピッチ上の選手とベンチ選手の分析が、完全にリンク。

 そして……実はピッチ外でもまた、いつもの綿密な分析が始まっていた。

「外から見ていると、相手が4-4-2にしてくれたから、逆にこっちがハメやすくなったし、中の選手もやりやすくなったんじゃないかな、と思った」(鈴木徳真)

 不動のボランチだった鈴木徳真は負傷明けで、この日はベンチスタート。だが、常にピッチ上の変化に目を配り、ベンチにいながらゲーム展開を分析していた。

「今回の福岡戦のポイントは、会津が左サイドの亀川諒史選手のマンマークについて仕事をさせないこと。

 当初はウィングバックを想定していたけど、サイドハーフ気味でした。そこで混乱せずに、会津はそのまま亀川選手のマンマークに付きながら、右サイドバックの小笠原があまり上がらないで他に対応し、かつ会津が落ちてきたら中に絞ってプレーする、と。

 その分、逆サイドの左サイドバックの野口(航)くんが積極的に上がるようにします。

 野口くんが上った時は、左サイドハーフの西澤健太くんが中に絞って、トップ下の戸嶋祥郎くんと2シャドーで1トップの中野誠也くんをサポートする……つまり、攻撃時は3-4-3のイメージで攻める。これがきちんとできるかがポイントだと思った」

 これが鈴木徳真がベンチで考えていた分析だ。

 そして、その通りにチームは有機的に動いていたのだという。

【次ページ】 選手交代の内容により、自分で攻め方を切り替えた。

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