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韓国代表の座は「毒を盛った杯」。
恒例化した監督交代は何が原因か。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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posted2017/07/10 17:00

韓国代表の座は「毒を盛った杯」。恒例化した監督交代は何が原因か。<Number Web> photograph by AFLO

まさに針のむしろの状態だったシュティーリケ前監督。韓国代表を率いて英雄視されたのはヒディンク元監督くらいかもしれない。

韓国人監督を迎えても、内輪揉めというパターン。

(2)韓国人監督を迎えるが、結局は内輪揉め

 今回のシン・テヨンの着任の通り、韓国は現在「国内監督路線がよい手段」との答えを得ている。

 '10年南アフリカワールドカップのホ・ジョンムの成功(ベスト16入り)からだ。

 本大会でも結果が伴っただけではなく、最終予選を4勝4分で勝ち抜いた。近年では唯一の“無風状態”だ。「結局のところ、外国人でも韓国人でも結果は大きく変わらない」という雰囲気が高まった。現に'14年大会に挑む流れで3人の監督が指揮を執ったが、これがすべて韓国人だった。

 しかしこれはこれで問題が起きる。内輪揉めだ。

 '11年末に電撃解任になったチョ・グァンレは2度の日本戦での敗戦('11年アジアカップ準決勝、および同年8月の札幌でのテストマッチ)から旗色が悪くなり、最終的には3次予選レバノン戦(アウェー)での敗戦が決定打となり解任の決断が下された。チョは元々国内でも強い在野精神で知られる存在だったが、結局は協会側との意見対立が深刻になった。年末にホテルのレストランで解任が告げられたというから、かなり熾烈な展開だった。

ホン・ミョンボですら選手起用で厳しい批判を浴びた。

 チョ後任のチェ・グァンヒは国内リーグの全北で絶頂期を迎えていた。最終予選敗退の危機にあった大韓サッカー協会側とすれば、リーグナンバーワンの監督を“お借りする”という状態。実際に契約期間も最終予選終了時の'13年6月までに定められていた。しかし自ら指導した選手の重用からチーム内でのブーイングが始まった。

 キ・ソンヨンはSNSであからさまに監督批判を繰り広げる有様で、最終予選のクライマックスでは一部海外組がエントリーにすら入らないという異常事態に陥った。

 '14年ワールドカップ時のホン・ミョンボもまた、偏った選手起用で厳しい批判を浴びた。'12年のロンドン五輪で銅メダルを獲得した選手を重用。前任者の下で予選突破の立役者となったボランチ、イ・ミョンジュ(当時・浦項)らが最終エントリーに選ばれず、物議を醸した。

【次ページ】 コーチを組織のトップに昇格させても……。

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