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横峯さくらはツアーで何を食べている?
米国で戦う事=食事との戦い、の実態。 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byShizuka Minami

posted2017/07/12 11:00

横峯さくらはツアーで何を食べている?米国で戦う事=食事との戦い、の実態。<Number Web> photograph by Shizuka Minami

過酷なツアー生活の中で、なんとか自分で食事をやり繰りして戦い続けている横峯。米ツアー3年目の今季は勝負どころとなる。

ピザやハンバーガーも「アメリカに来て好きに」。

 一方で体調や試合の場所に合わせて、外食も上手に利用する。

 米国ツアーはレストランの選択肢が少ない地方都市で行われることも多い。もちろん日本食があればそれがベストだが、ピザやハンバーガーも「アメリカに来て好きになりました」というように、時々ご褒美として食べることも。

 朝ごはんは自らの“食のルーティーン”をしっかり守ってバランスよく食べながら、その他は臨機応変に対応する。そういった柔軟な姿勢で長いツアーを戦うのが横峯流だ。

宗教上の理由で特別な状況の選手は……。

 2015年からツアーに参加するイスラエル出身のレティシア・ベックは、ユダヤ教の戒律により、厳しい食事制限を持つ選手の1人だ。

 ユダヤ人は一般的に「コーシャ」と呼ばれる、ユダヤ人によって特殊な方法で処理された食べ物を口にする。厳格なユダヤ人は専用スーパーで買い物をし、一般のスーパーで売られているものはほとんど買わないが、ツアー中にそこまで厳しくすることはできないため、ベックは自分に出来る範囲で戒律に沿って食べ物を選んでいるという。

 例えば、カフェテリアなどで「魚のホワイトソースがけ」と書かれていても、ユダヤ教では鱗のある魚以外は食べてはいけないので、魚の種類までが問題になる。

 野菜スープも野菜だけの出汁だけであれば口にできるけれど、鶏肉で出汁をとっている場合はアウト。「食堂のシェフにその都度どういう素材を使っているか細かく聞かなければいけないのが面倒」とベックは笑うが、「高校時代からフロリダのIMGアカデミーに留学していて、どういう食べ物を選べばいいか分かってきているから大丈夫」と話す。

 米国ではなんとかルーティーンを守れるベックが困ったのがリオ五輪の選手食堂。

 選手村に入村する前に「コーシャ料理」を依頼していたが、手渡されたのは冷凍のコーシャ弁当。

「開けたら牛肉が入っていて、それがきちんと処理されたのか分からなかったので、サラダやパスタなどを選んで、皆と同じものを食べるしかなくて……」

 最後までリオ五輪の環境に対しては不満が残ったようだが、プレーそのものはなんとか乗りきったと笑う。

【次ページ】 日常生活にも支障が出る、アレルギーと戦う選手も。

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