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「僕らはね、人類を進化させたい」
西麻布のジムが掲げる異質の野望。

posted2017/06/28 08:00

 
「僕らはね、人類を進化させたい」西麻布のジムが掲げる異質の野望。<Number Web> photograph by Hidenobu Murase

西麻布という町にそびえる「人類を進化させるジム」。案外開放的な外見の裏に、強烈な思想があるとは……。

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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Hidenobu Murase

 東京・西麻布――。

 成功者とそれを狙う魑魅魍魎が共棲し、カネと欲望が夜な夜な交錯する大人の街。そんな煌びやかな街の向こう側にある、閑静な住宅街の中にプライベートパーソナルトレーニングジム、「デポルターレクラブ」はある。

 デポルターレ。

 それはラテン語でスポーツの語源となる言葉であり、日常からの“解放”という意味を持つ。浮世離れした西麻布。電車の止まらぬ非日常。しかしてそのクラブは、最新鋭のトレーニング施設だけでなく、ヨガやピラティス、鍼灸など東洋医学も組み合わせた最先端と伝統がハイブリッドに同居する場所。

 紹介メインの会員制、7年目と若いジムながら人づてに評判が評判を呼び、現在は新規会員の募集を制限し、入会待ちという状態。その門を潜るのは、なかなかに至難の業だ。

 クラブの代表、竹下雄真氏にお会いしたのは2010年秋のことだった。かの天才的バガボンド・古木克明氏がプロ野球から一転、格闘技挑戦を決意し、肉体改造を行っていたのがこのクラブであり、竹下氏はマンツーマンで古木氏を格闘家の肉体へと作り変えていた人だった。

 その当時の竹下氏の印象は、“もの好きな人がいるものだ”という程度だった。だがここ最近、デポルターレクラブが、野球をはじめとするスポーツ界でたいそうな評判となっているという話を耳にした。しかも、狭き門はプロのアスリートさえも同じで、評判を聞きつけたあんな大物投手やこんな誰でも知ってる選手が入会を望んだが、門前払いを喰らったなんて話も。

 古木氏は受けるのに、それら大物選手は拒む。

 そんな世界があるのか。このクラブに俄然興味を持ち始めた。

基準は「ワクワクするかどうか」。

「僕らはね、人類を進化させたいんですよ」

 代表・竹下雄真氏。38歳。鍛え上げられた肉体にマッチョヒゲ。柔和な笑顔からそんな言葉が大マジメに語られる。人類の進化。壮大な目標である。が、その選ばれし方舟に乗れるのはどういう基準なのだろうか。

「う~ん……なんだろうな。ワクワクするかどうか……なんだと思いますよ。古木君にしても、面白いじゃないですか。プロ野球を辞めて、いきなり格闘技やろうなんて発想をした人間そういないですよ。野球をやっているときも、才能は凄いものがある。でも、なんというか『ああ、いろいろあったんだな』って……わかるじゃないですか。

 そういう“もう少し”のところで僕らが携わったら、よくなるんじゃないかなって思える。そんな人に魅力を感じるんです。野球もやりながら大晦日にはダイナマイトに出る、マンガみたいな存在。そこにチャレンジする人を僕は尊敬するし、なによりワクワクするじゃないですか」

【次ページ】 そんなロマン枠を突破したアスリートは誰か。

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