小林が“ラッキーボーイ”になった瞬間の思い出。

――その小林選手ですが大会前の控え捕手扱いから、一躍ラッキーボーイとして注目されました。序列が変わっていく様子は感じましたか？

「自分がやらなくちゃいけない、と言う意思を感じましたね。最初は彼自身も2番手、3番手だと思っていたはずなんです。ただ嶋（基宏）選手が負傷したことで、チームの中心としてプレーする必要に迫られた。当初は自分のことを"菅野専用のキャッチャー"だと考えていたでしょうから、どうしたって変化せざるを得なくなりましたよね」

――初戦のキューバ戦が始まる前、小林選手がものすごく緊張しているシーンがありました。

「あそこで坂本（勇人）選手や中田（翔）選手が、声をかけて緊張をほぐそうとしていましたよね。みんなに声をかけられることで、小林選手も“やってやる”という覚悟を持ったのではないでしょうか」

――小林選手がホームランを打ったシーンのベンチは印象的でした。チームメイトたちも驚いていたんですね。

「打った瞬間、小林選手ではなく菅野選手の表情が見たいと思ったんです。周りが『小林、覚醒したよ！』と声をかけていましたよね。菅野選手と小林選手は同学年で、なおかつ巨人でもバッテリーを組んでいる。ただ小林選手はミスも多くて（笑）、怒られているイメージが強い。ただ実は菅野選手は、『そんなことないのに』と小林選手を評価している。それを周囲も知っているからこそ菅野選手に言葉をかけたし、菅野選手自身もホームランを心から喜んだのだと思います」

意外に“いじられ役”の筒香と、リーダー気質の坂本。

――日本の4番として大活躍した筒香選手が、意外にも“いじられ役”だったことに驚きました。

「実は筒香選手がそういった役回りになっているのは、最初の頃から気づいていました。菊池（涼介）選手と中田選手との3人で一緒に行動していましたからね。筒香選手が2人に"イタズラ"をされるのですが、僕自身も段々、『これは何かやるな』という雰囲気がわかるようになりましたよ（笑）。菊池選手はいい意味でカメラを意識してくれた選手でした」

――チームに帯同して、印象が変わった選手は？

「坂本選手ですね。本人には悪いですけど、最初は『つっけんどんしたタイプなのかな？』と思っていたら正反対でした。率先してコミュニケーションを取る。先ほども話した小林選手のシーンなんかは、坂本選手の役割が大きかったですからね」

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