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柏木「うちは引いて守るのが苦手」
浦和の守備崩壊、原因は何か。 

text by

轡田哲朗

轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada

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posted2017/06/24 09:00

柏木「うちは引いて守るのが苦手」浦和の守備崩壊、原因は何か。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

昨季の浦和は年間28失点と、1試合平均失点が1点台を下回っていた。その規律を取り戻せば、守備への不安の声は収まるはずだ。

去年まで厳しくいけたところでも、少し諦めている?

 また、森脇良太は撤退しながら守り切れない守備陣について「言葉にすると重たいかもしれないですけど」とした上で、最後のところで守り切る強さを発揮できない面があると話す。

「去年までだったら厳しくいけたところでも、少し諦めてしまっている。難しくなっても、チーム全体で守る気持ちがないとズルズルいってしまう」

 撤退して守るのであれば、たとえ良い形でボールが相手FWに入っても、突破させない強度が最終ラインには必要になる。そこに強さを出せていないという現状では、失点が重なるのは自明だ。槙野智章も「昨年までは最後のところで後ろの選手が体を張って守れていた」と歯がゆさを話した。最終ラインに、負担の大きさに耐えられない部分が出てきていることが垣間見える。

 一方で、昨季のようなプレス戦術を導入する際に、トレードオフとなるのが疲労との戦いだ。特に浦和は、ACLと並行した過密日程を強いられてきた上に、季節は夏に近づいている。高温多湿の環境下で、運動量を求める守備戦術は成り立つのか、という疑問はある。

ボールを奪われた瞬間に頑張れば、省エネにつながる。

 だが、柏木は違った見方を提示している。

「もっと前からプレスを掛けて、切り替えを早くしてボールを取って、それが一番走る距離も短く、質の良い走りにつながっていくんじゃないかな。それで点を取っていくのがうちの強さだと思う。なんかこう、今年に関してはやり方の部分で失点が増えているような気がする。今は失点が増える一方だし、バランスも崩れているから」

 つまり、ボールを奪われた瞬間に「ひとつ頑張る」ことによって、自陣に向けて長い距離を走る回数を減らすことができ、かえって省エネにつながるという考え方だ。また、それによって相手の攻撃回数を減らすことができれば、最終ラインの守備負担は小さくなる。

【次ページ】 前輪駆動こそが“強い浦和”復活のカギなのだ。

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