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今年のドラフトは'05年とそっくり。
高校は強打者、では大学社会人は? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2017/06/23 11:30

今年のドラフトは'05年とそっくり。高校は強打者、では大学社会人は?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

清宮をはじめ今夏の甲子園は高校生スラッガーの注目度が高い。それと同時に大学・社会人の逸材を見極められるかはスカウトの腕の見せ所だ。

田中、前田健、坂本、中田……充実の高校1位。

 まず、高校生ドラフトを見てみよう。この3年間の1位指名は35人である。内訳は投手20人、野手15人で、その中には田中将大(楽天→ヤンキース)、前田健太(広島→ドジャース)の現役メジャーリーガーがいて、さらに山口俊(DeNA→巨人)、岩嵜翔(ソフトバンク)と一線級の成績を残した投手たちもいる。ただ、これほど充実したメンバーでも野手1巡の顔ぶれにはかなわない。

 '05年は陽岱鋼(日本ハム→巨人)、T-岡田(オリックス)、平田良介(中日)、炭谷銀仁朗(西武)。 '06年は坂本勇人(巨人)、'07年は中田翔(日本ハム)と日本を代表する選手が顔を並べているのだ。この3年間、1位指名された選手が戦力になった割合は、筆者の基準で判定すると投手5割、野手6割6分7厘になる。投手も頑張っているが、野手の“成功率”は驚異的だ。

 では、ドラフト2巡以下はどうだろう。40人の高校生投手が指名され、戦力になっているのは武隈祥太(西武)くらいである。それに対して高校卒野手は、'05年が銀次(楽天)、川端慎吾(ヤクルト)、大和(阪神)。'06年には梶谷隆幸(DeNA)、'07年が丸佳浩(広島)、中村晃(ソフトバンク)ら多彩な顔ぶれが並ぶ。

大学社会人の1位指名33人中、投手が何と30人。

 野手が大活躍を見せている高校卒に対して、大学卒&社会人出身は対照的だ。この3年間での大学社会人での1位指名は投手、野手合計で33人、その内訳は投手30人、野手3人と圧倒的に投手が多い。

 '05年が平野佳寿(オリックス)、吉見一起(中日)、'06年が岸孝之(西武→楽天)、大隣憲司(ソフトバンク)など、さまざまな個性が顔を揃える。野手は松田宣浩(ソフトバンク)という一線級はいるが、そもそもの数が少なすぎる。

 これらの指名と選手の成績から、上位指名するなら高校生は野手、大学生&社会人は投手、という傾向が見えてくる。今年のWBC選出メンバーも見てみよう。投手、野手を高校卒、大学卒&社会人出身に分類し、さらにドラフト順位も付けて紹介する。

【次ページ】 WBCメンバーを見ていっても、選手の傾向は同じ。

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