原口元気は「ああいうシュートを決める選手が日本代表」

　そんななかでも、左FWに入った原口はこの試合でチーム最多となる4本のシュートを放っている。

「決めていれば良かったわけで。僕自身チャンスがあったので、自分のクオリティーが足りないだけ。日本代表として出ている以上、ああいうシュートを決めないといけないと思うし、ああいうシュートを決められる選手が日本代表選手だと思う。次は必ず、チャンスがあれば決めていければ」

　原口はいさぎよく、自分へのハードルを上げた。その上で、この試合で得た大きなヒントもあったという。

　この試合の唯一のゴールは、左サイドの突破から生まれている。

　長友佑都が相手陣内でボールを持ち、原口へ預けた。原口が中央にボールを運んで、大迫勇也へパス。大迫がダイレクトで左前方にボールを落とすと、タイミング良く長友がこれを受けてサイドをえぐった。最後は、長友が左足でいれたクロスを今野泰幸が押し込んだ。このシーンについて原口はこう語った。

「監督の狙いとしては、もう少し中にいて裏をとるようなイメージですけど、あのタイミングでは僕が開いて、タメを作ってという感じでした。

　でも、僕が代わってから乾君はサイドに開いて、良い感じでやっていました。やはり、サイドに開く時間帯は必要だなとは感じましたね。僕が、（代表の先発で）出始めたころはもう少しサイドに張って、そこで時間を作っていたかな、というのを乾君のプレーを見て思い出したというか……」

　今年3月のホームでのタイ戦でも原口は中寄りのポジションをとっているのだが、それは監督の指示のほかに、ゴールを決めてチームに貢献することを考えていたからだった。

乾のプレーが正解、という感覚は本当か。

　代わって入った乾貴士が素晴らしいプレーを見せたことは、誰の目にも明らかだ。代表チームに新たな風が吹き込んだために、乾のプレーこそが正解だという空気に一気に傾きがちだが、シリア戦翌日の長友の話は興味深いものだった。

　乾のプレーを称え、価値を認めたうえで長友はこう話した。

「前半にあれだけ相手にエネルギーがあるなか、自分たちがあまり機能していないなかで、元気に多くのことを求めすぎても……。乾が前半から出ていたら、どういうプレーをしていたのかというのもわからないし。後半はある程度スペースもありましたし、相手も疲れてきて、こっちとしても良い形を作れていた。だから、そこを比べるというのはなかなか難しいところです」

　そして、長友はこう言葉を続けた。

「後ろでサポートする人間としては、彼らが活きやすい動きをしてあげないといけない。なおかつ、僕自身も個人的に活きるようなポジショニングを、彼ら自身にとってもらうということも、もちろん大事。

　ただ、その点については今日の練習で色々と話しました。特に元気とは。もっとコミュニケーションが必要なのかなと思います」

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