オリンピックPRESSBACK NUMBER

「バドミントンで8位」の価値は?
大岩義明が世界的馬術大会で偉業。 

text by

北野あづさ

北野あづさAzusa Kitano

PROFILE

photograph byAzusa Kitano

posted2017/06/07 07:30

「バドミントンで8位」の価値は?大岩義明が世界的馬術大会で偉業。<Number Web> photograph by Azusa Kitano

ボウフォート公爵が所有する「バドミントン・ハウス」を背にした大岩。この広大な個人宅には第二次世界大戦中、王室関係者も疎開していた。

競技同様に難関の「ホース・インスペクション」。

 残すは最後の種目、障害馬術だ。

 しかし、その前に大きな関門がある。それは「ホース・インスペクション(馬体検査)」だ。

 馬とともに行うスポーツである以上、馬はアスリートだ。そして、言葉を話さない馬に無理をさせないためのルールがある。それが「ホース・インスペクション」である。

 大会最終日の朝に、獣医師と審判員の前で馬を引いて見せて、馬が怪我をしていないか、最終種目に出場するにふさわしい健康状態にあるかが判断される。前日にハードなクロスカントリーを走った馬の中には、怪我をしていたり、明らかに疲労がたまっているものもいて、競技出場にふさわしくないと判断されたら、障害馬術競技には出られない。

 実は、リオデジャネイロオリンピックでは、大岩はこのインスペクションで「ホールディング」とコールされている。一発で合格ではなく、言ってみれば「要再検査」ということである。獣医師がより詳しく馬の状態を確認し、それを踏まえてもう一度インスペクションを受けなければならない。幸い、二度目のインスペクションでは合格したが、心臓に悪いことこの上ない。クロスカントリーを走った夜は、いつも以上にケアをしてコンディションの回復に努めるのだ。その甲斐あってか、今回は一発で合格した。

最終的にさらに順位を上げ、しかも他の賞も獲得!

 障害馬術競技は、クロスカントリー終了時の暫定順位の下位から順に走行する。つまり、優勝に最も近い選手が最後に登場するのだ。

 クロスカントリー競技で、人馬転倒や落馬、あるいは不従順が3回に及ぶなどの理由で失権したり、自ら棄権したり、あるいは馬のコンディションを戻せずにホース・インスペクションを棄権するケースも多く、今回、障害馬術競技に進めたのは46組だった。

 大岩はスタート直後の障害物でこそ落下させてしまったが、その後はしっかりと馬をコントロールしてコースを回り切った。

 上位陣にもミスがあって、大岩の順位はさらに上がり、最終的に8位となった。

 また、「ベストオーナー/ライダー(選手自身がその馬のオーナー)」に贈られる「シルバー・ジュビリー・プレート」も受賞した。

【次ページ】 今大会優勝者は'84年から完走35回にしての初優勝。

BACK 1 2 3 4 5 6 NEXT
大岩義明
東京五輪
オリンピック・パラリンピック

他競技の前後の記事

ページトップ