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アイスホッケー男子代表への失望。
反撃しない0-4に未来はあるのか。 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byAFLO

posted2017/05/18 08:00

歓喜に沸くイギリスの選手の後ろで、肩を落とす福藤。日本男子のアイスホッケーは永遠に世界トップレベルへと近づけないのだろうか。

歓喜に沸くイギリスの選手の後ろで、肩を落とす福藤。日本男子のアイスホッケーは永遠に世界トップレベルへと近づけないのだろうか。

絶対的エースを外しても「いつもの日本」だった。

 日本の戦い方が変わったわけではなかった。相手のレベルが低ければ攻めることができる。ただ、それだけのことだった。

 男子アイスホッケー日本代表は今、重心を失った船のように不安定な航海を続けている。2月のアジア大会を前に突然、代表を率いていたグレッグ・トムソンが監督を降りた。コーチを務めていた鈴木貴人が監督に昇格したが、その発表は大きく後れ、記者会見もなし。中途半端な印象のまま新体制がスタートし、不安視されていたアジア大会では韓国、カザフスタンに敗れ、過去最低となる3位に終わった。

 その2週間前に、女子代表が平昌五輪最終予選を全勝で突破していただけに、明暗がよりはっきりと分かれた。

 今、日本アイスホッケー連盟のバックアップ体制は、当然と言えば当然だが女子偏重、男子は冷遇されている。世界選手権の前は毎年国内合宿が行われていたが、今回は予算不足を理由に、取りやめになる可能性もあった。また北アイルランドまでの航空チケットの手配が遅れ、代表チームは3班に分かれ、それぞれ別ルートでの移動となった。

 そんな中で、新監督の鈴木は、ひとつの大きな賭けに出た。絶対的エースだった久慈修平を外すなど、フォワード陣を若手中心に大刷新した。しかし戦い方は「いつもの日本」という印象を拭えなかった。

最後は観ている者にとって拷問のような20分だった。

 イギリス戦の第3ピリオドは、観ている者にとって拷問のような20分だった。イギリスはパックを持つと、時間をかけてゆっくり攻撃した。リスクを負うような攻めは、もう見せない。5点目はいらないと判断したようだ。日本の得点の気配は一層、薄くなった。

 最後の20分は、ただ、消化するためだけにあった。

 少なからず日本からファンも駆けつけていた。時間と労力とお金をかけ、あのような試合を観なければならないファンが気の毒でならなかった。

 イギリス戦において、何がいちばん悔しかったかというと、一度もワクワクさせてくれなかったことだ。だからこそ、せめて第3ピリオドで捨て身になって欲しかった。たとえ1-10で惨敗してもいいから、チームとして決死の覚悟で攻める姿勢を見たかった。

【次ページ】 アイスホッケー代表には「負けっぷり」のよさがない。

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