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世界で最もセレブな街のサッカー事情。
ASモナコの躍進と、その国民の悲願。 

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オリビエ・ボサール

オリビエ・ボサールOlivier Bossard

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photograph byFrederic Mons

posted2017/05/15 08:00

世界で最もセレブな街のサッカー事情。ASモナコの躍進と、その国民の悲願。<Number Web> photograph by Frederic Mons

ASモナコのグラウンドで練習に励む若い選手たち。ここからモナコのスター選手が生まれる。

モナコの代表選手になるための資格とは?

 港に面したレストラン『ドルチェ・ビータ』のテラスでは、現モナコ代表監督のティエリ・プティがエリック・フィソル、アントニー・ミニオニと昼食をともにしている。

 彼らが集まったのはバチカンとの親善試合の遠征準備のためで、3人はここモナコで別のサッカーに関わっているのだった。組織の名は「モナコ・フットボール・アソシエイション(=MFA、モナコサッカー協会)」。モナコ代表チームがこの組織のもとに統括されている。

「MFAは2000年に創設された」とプティはいう。

 父親はジャン・プティ。

 ASMの伝説的な存在(元フランス代表、ASMでリーグ戦426試合出場、引退後はアーセン・ベンゲル、ジャン・ティガナ、クロード・ピュエル、ディディエ・デシャン、リカルド・ゴメス、マルコ・シモーネなどの下でアシスタントコーチを歴任)で、今でもASMの運営に関わっている。

「できるだけたくさん親善試合をやりたいのだが、なかなか難しくてね」と息子のプティは苦笑する。

 チームの年間予算は9000ユーロ(約112万円)、練習は週2回、昼休みにおこなわれる。

「代表の資格はモナコの国民であるか、国民の配偶者、子供、父親であることのいずれかだ」と、MFAの会長で自らも代表のスター選手でもあるエリック・フィソルは説明する。

「ウィリアム・ギャラスはモナコの女性と結婚した。彼には代表の資格があるのだが、残念ながらあまり興味はないようだ」

ほとんどのモナコ代表の選手がカジノの仕事も!?

 ふたりのプティのうち父の方はASMで働きつつも、カジノでルーレットを回すディーラーでもあり、宮廷の管財人を兼ねているという。息子はといえば、旧市街にレストランを何軒も経営したり、幅広く事業をこなす実業家でもある。

「選手のほとんどがカジノで仕事をしている」と息子であるプティは語る。

「夜働く者も多いから、常に練習に来られるとは限らない。でも数はそれなりで、旧市街を中心に60人ほどいる」

 代表はすでに20試合以上の親善試合をおこなっている。

「実は北キプロスから招待されたことがあったけど、実現はしなかった。ギリシャと係争中(北キプロスの独立はトルコのみが承認)で、代表が訪問したら国際問題になりかねないからね」

【次ページ】 アルベール2世が、そもそもサッカーをやっていた。

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