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一度は条件戦に落ちた馬がGI勝利。
アドマイヤリードの器はいかほどか。

posted2017/05/15 11:20

 
桜花賞やオークスに出場した後一度は条件戦に回ったアドマイヤリードだったが、見事にGI戦線へ返り咲きを果たした。

桜花賞やオークスに出場した後一度は条件戦に回ったアドマイヤリードだったが、見事にGI戦線へ返り咲きを果たした。

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

PROFILE

photograph by

Yuji Takahashi

 春の古馬女王を決める第12回ヴィクトリアマイル(5月14日、東京芝1600m、4歳以上牝馬GI)を勝ったのは、クリストフ・ルメールが騎乗した6番人気のアドマイヤリード(4歳、父ステイゴールド、栗東・須貝尚介厩舎)だった。

 稍重の馬場状態で、勝ちタイムは1分33秒9。2着は11番人気デンコウアンジュ、3着は7番人気ジュールポレールという波乱の結果となった。

 前日の雨で渋った馬場が、勝負の行方を大きく左右することになった。

 ゲートを出た17頭は、内埒から馬4、5頭ぶん離れたコースの真ん中より外目に集まり、少しでも馬場状態のいいところを選びながら、ゆっくりと走った。そのまま出入りの少ない展開となり、3コーナーに入ってからも17頭が一団になって内をあけている。

 ゲートから3、4コーナー中間地点までの800mが47秒9。そこからゴールまでの800mが46秒0。後半のほうが2秒近くも速くなった。レース自体のラスト3ハロン(600m)が33秒8という数字が示すように、最後は牝馬同士のレースによくある瞬発力勝負となった。

前の壁が空いた一瞬を見逃さなかった。

 それも、ただの瞬発力勝負ではなく、馬場の内目が特に荒れた状態でのヨーイドン、である。渋った馬場に適性のない馬は外に行かざるを得なかったが、荒れ馬場を苦にしない馬は、内でも外でも真ん中でも、好きなところを選べる。

「パワーがいる馬場だったが、この馬は得意だった。引っ掛かるような馬では難しい。リラックスして走ることが求められる馬場状態だった」とルメール。その言葉どおり、アドマイヤリードは落ちついており、鞍上の指示どおりに立ち回る。道中は後方に待機していたが、4コーナーでインコースをショートカットしてポジションを上げ、直線では馬場のいい真ん中へ。

 ラスト200m地点で、前で壁になっていたスマートレイアーとソルヴェイグの間が一瞬あくと、そこから鋭く抜け出した。

「少し狭かったけど、そこを割って抜け出す力があったので、この馬にとっては充分なスペースだった」とルメールは笑みを見せた。須貝調教師も同様に、「こういう競馬になると、根性を生かすことができる。勝つイメージを持って、安心して見ていられました」と、ヒヤヒヤすることはなかったという。

 422キロの小さな馬体を躍動させ、2着を1馬身1/4突き放した。

【次ページ】 この日、ルメールは4勝に2着5回。

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