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「WBC後遺症」の議論に意味はない。
秋山も、筒香も、誠也も、大丈夫だ。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byKyodo News

posted2017/05/05 07:00

「WBC後遺症」の議論に意味はない。秋山も、筒香も、誠也も、大丈夫だ。<Number Web> photograph by Kyodo News

筒香嘉智は、日本プロ球界でも珍しいスタイルでバッティングと向き合う打者である。不調との向き合い方も、ひと味違うのだ。

筒香「去年と比較されるのは理解ができないです」

 開幕してからトップギアを出せなかった。本人は意に介さないが、筒香は世間からの期待が高い分、トップフォームでないことへの矛先がWBCへと向いた。

 実は筒香は「投手の間合いが違っていることに気づいていなかった。自分の間合いで打てていなかった」とWBCの影響を否定はしていない。ただ、現在の不調の中でも「WBCからの復調」を目指しているのではなく、新しく身につけたい能力があり、それに向けた取り組みを続けているのだ。

 筒香は言う。

「WBCを経験したから特に新しいことを取り入れた、というわけではないです。WBCの前、去年のオフから新しいことに取り組んできました。去年のバッティングと比較されますけど、去年と今年が同じである必要はないと思っているので、比較されるのは理解ができないです。僕はそういう感覚ではやっていないから」

 つまり、昨シーズン44本塁打110打点を記録した打撃ではなく、2017年の筒香は新しいバッティングを模索している。「進化していくために、今までやっていたことを捨てるという作業に恐れはない」と話す筒香からしてみれば、いまの歩みは特段不調でも好調でもないということだ。

「僕の中では、躓いているとは思っていない」

 4月30日の広島戦。

 筒香は今シーズン初めて猛打賞をマークした。ホームランはなかったが、右翼方向に引っ張り込む打球も増え、打球も高く上がるなど、質の高いバッティングを見せていた。徐々に新たなフォームができつつあるのだろうか。

「4月12日の阪神戦での秋山投手から打った2本のヒットは、レフト前を狙ってやったことなので、問題ではないです。自分の感覚を取り戻す方法のひとつでやっていたものでした。僕の中では、今シーズンのここまでの成績が『躓いている』とは思っていないですね」

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