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18-17の“思わず笑っちゃう”激勝。
清宮幸太郎「いやあ、宣誓だ……」 

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田村航平(Number編集部)

田村航平(Number編集部)Kohei Tamura

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photograph byKyodo News

posted2017/04/28 14:45

18-17の“思わず笑っちゃう”激勝。清宮幸太郎「いやあ、宣誓だ……」<Number Web> photograph by Kyodo News

高校通算83、84号を連発した清宮。東京都代表として日大三とともに出場する関東大会は5月20日から水戸市民球場ほかで開催。

準決勝も、8回に10点というビッグイニングがあった。

 22日に行われた準決勝・国士舘戦も、早実は初回にいきなり5失点している。5回終了時点で3-8となり、コールド負けもちらつく展開。しかし、6回裏に3点、8回裏に10点を奪って16-8で逆にコールド勝ちを収めた。

 打線の爆発に目が行きがちだが、試合後の清宮の見解は違った。得点の入る直前の6回表と8回表が、いずれも国士舘の3番・水野谷の併殺打でチェンジになったことをポイントに挙げている。

「3番の子を2つゲッツーに取れて、そのあとに点を取れたので。打たれて、守備から崩れたように見えますけど、そういう守備から、攻撃に繋がったんじゃないかと思います」

 決勝で3点リードの9回表に試合をひっくり返されても、早実の姿勢は変わらなかった。

 日大三の代打・大塚にリードを広げられる2ランを打たれ、打者一巡で3番・桜井を打席に迎える。桜井はこの回の先頭でホームランを放っており、ここまで3安打4打点。相手の看板選手に対して早実マウンドの左腕・赤嶺は開き直ったように腕を振り、最後は渾身の132km直球で空振り三振を奪った。

 これでチェンジになると、早実ナインはさも良い守りをしたかのように嬉しそうに引き上げてきた。7点も取られているのに、である。

いくら取られても、返せる自信があった。

 その裏、1点を返して尚も無死一、三塁で清宮は笑みを浮かべながら打席へ向かう。

「取っても取っても、取られて取られて。思わず笑っちゃうような感じでしたけど。切羽詰まった感じはなくて。いくら取られても、いくらでも返せるという自信があった」

 そして前述の同点3ランが飛び出し、延長12回に1番・野田がサヨナラ打。壮絶な打ち合いは、「守備のリズム」を攻撃へと繋げた早実がものにした。

【次ページ】 「勝った瞬間に思いました。宣誓だ……って」

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清宮幸太郎
早稲田実業高校

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