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六大と東都はパワー型投手不足か?
地方リーグ全盛の流れに抗う10人。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2017/04/30 07:00

六大と東都はパワー型投手不足か?地方リーグ全盛の流れに抗う10人。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

早大相手に貫録のピッチングを見せた明大の森下暢仁。プロも注目の逸材だ。

六大学では明治大の森下と斎藤が注目株に。

 一方で2年生の小玉と山本は素材のよさが際立っている。小玉がリリーフ、山本が先発と役割が異なるが、ともにストレートの勢いに加えて、山本はスライダーと小さく落ちるスプリット、小玉はともに縦変化のカーブとスライダーに一級のキレがある。彼ら以外でも高橋遥人(亜細亜大4年)、飯田晴海(東洋大4年)、田村孝之介(日本大2年)、吉村貢司郎(国学院大2年)が145キロ以上を計測し、高橋と飯田は今年のドラフト候補に数えられている。

 もう1つの名門、東京六大学リーグにも楽しみな本格派がいる。大分商卒業時にドラフト上位候補と騒がれていた森下暢仁(明治大2年)がその代表格で、4月23日の早稲田大戦では7回2/3を2失点に抑え、最速149キロを計測した。また森下は100キロ台のカーブを持ち球としており、140キロ台後半のストレートとのスピード差は約40キロ。ストレートに速さがないと、これほどまでの緩急は生まれない。

 同じ明治大の齊藤大将(4年)は森下のような速さこそないが、左腕のスリークォーターから投げ込む140キロ台前半のストレートとカーブ、スライダーには左打者の腰を引かせるキレがある。4月22日の早稲田大戦は先発した水野匡貴(4年)が打球を左足に受け1回途中で降板。そのあとを受けての登板となったが8回3分の1を投げ、失点を1に抑えている。

昨年のドラフトでは地方リーグの選手が数多く指名。

 昨年のドラフトでは東都、東京六大学リーグ以外の、いわゆる地方リーグの選手が上位で数多く指名され、時代の変化を痛感させられた。

 名前を列記すると、大山悠輔(白鴎大→阪神1位)、佐々木千隼(桜美林大→ロッテ1位)、濱口遥大(神奈川大→DeNA1位)、田中正義(創価大→ソフトバンク1位)、吉川尚輝(中京学院大→巨人1位)、池田隆英(創価大→楽天2位)、中塚駿太(白鴎大→西武2位)、小野泰己(富士大→阪神2位)、水野滉也(東海大北海道→DeNA2位)、畠世周(近畿大→巨人2位)と、地方リーグの近年の全国大会での躍進がこの顔ぶれにもよく表れている。

【次ページ】 人材の輩出スピードが鈍っていることは否めない。

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