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日本球界、実はリリーフ人材不足。
大卒・社会人出身の費用対効果。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKyodo News

posted2017/04/16 09:00

日本球界、実はリリーフ人材不足。大卒・社会人出身の費用対効果。<Number Web> photograph by Kyodo News

世代交代の最中にある巨人にあって、池田のような新顔の台頭は高橋由伸監督が待ち望んでいることだろう。

オリックス黒木、ソフトバンク石川も信頼を獲得。

 楽天ほどではないが、オリックスとソフトバンクも若手リリーフが頑張っている。オリックスはドラフト2位の黒木優太(立正大)、ソフトバンクは2013年の育成ドラフト1位、石川柊太(創価大)だ。黒木は4試合に登板して防御率2.25、石川は3試合に登板して防御率1.29という安定感を誇っている。

 黒木は2試合目からはリードした局面で登板していて、首脳陣の信頼を得ていることがわかる。

 対照的に石川は3試合とも点差が大きい場面での登板である。4月8日の西武戦は先発の中田賢一が3回5失点で炎上したあと2番手で登板、残り5イニングをメヒアのホームラン1本、与四球1に抑えている。最速155キロのストレートにフォーク、スライダー、ツーシームなど多彩な変化球を操る投球術も備え、ロングリリーフを経て、ゆくゆくは先発ローテーション入りも可能な大器である。

セでは広島の加藤と床田、DeNAの濱口がローテ入り。

 セ・リーグでは先発陣が手薄な広島に加藤拓也(慶応大)、床田寛樹(中部学院大)という新人が台頭している。加藤は4月7日のヤクルト戦に先発し、9回1死までノーヒットノーランを継続していた。バレンティンにヒットを許し偉業は潰えたが、150キロ台のストレートとフォークボールを多用したパワーピッチングはヤクルト打線を圧倒し、2三振に倒れた山田哲人(ヤクルト)などは「最悪の球」と悔しさを滲ませた。

 広島は過去2年、前田健太のドジャース移籍、黒田博樹の引退で先発陣の弱体化が話題になっている。加藤のノーヒットノーラン寸前の力投は、広島投手陣の危機的状況を保留する効果があった。

 加藤以外ではDeNAの左腕、濱口遥大が4月9日の中日戦に先発し、6回3分の1を1失点に抑えて初勝利を挙げた。猛威を振るったのは神奈川大時代によく見た大きく縦割れするチェンジアップではなく、ツーシームのような球筋で落ちるチェンジアップだ。ストレートにも力があり、石田健大、今永昇太とともに先発の左腕トリオを形成できれば、左打者が幅を利かす球界にあって追い風をチームにもたらせる。

【次ページ】 巨人・谷岡と池田、ヤクルト・星も登板数が増加。

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