Sports Graphic Number WebBACK NUMBER

「ウルトラマラソン」世界記録保持者、
砂田貴裕を走らせる“原動力”。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph byWataru Sato

posted2017/04/20 11:00

「音楽がなければ、僕のランニング人生もなかった」

 ランニングと音楽――砂田氏にとってこの二つは切っても切れない関係にあるという。

「音楽がなかったら、僕のランニング人生はなかったといっても過言ではありません」

 長距離を始めたのは中学校2年生のときだ。砂田氏は、他の選手を出し抜くために当時から好きだった音楽を使って練習をすることを思いついた。

「当時、僕は追いかける立場だったんで学校で他の人と同じ練習をしていても勝ち目はない。で、ひとりで自主トレをすることにしたのですが、その際に好きな音楽を聴きながら走ろうと思ったんですよ。それが基本的に億劫なひとり練習の手助けになったのは間違いありません」

2000.04 100kmのIAUヨーロッパ大会(フランス)に出場し優勝。

 1980年代後半、当時、音楽ソフトはアナログからCDへと切り替わる移行期にあり、砂田氏はレコードレンタル店でLPを借り、好きな曲をセレクトしてカセットテープにダビングした。ポータブルカセットプレーヤーをウェストポーチにしのばせるのだが、走っている最中にガタガタと動かぬようにタオルを詰め安定させるといった工夫もした。

「好きな音楽を聴いてリズミカルに気分良く走れるのはもちろん、時間の経過が早いというか長い距離を走るという意味においても音楽というのは利用価値が高いと思います。それからはより走ることに夢中になったし、上手く遊びとランニングが結びついたという感じなんですよ」

 以来、砂田氏は飛躍的に記録を伸ばし、陸上の推薦で高校へ進学し、さらに実業団へ入ると1992年には防府読売マラソンでU20ジュニア日本最高記録となる2時間15分30秒を記録した。

1992.12.20 当時10代の日本最高記録となった防府読売マラソン。

 時代とともにハードはMDやMP3の小型プレーヤーなど最新の物に変わっていったが、砂田氏の傍らにはいつも音楽があった。また社会人になると自分でターンテーブルやCDJを購入し、走るときのための音楽作りにも没頭した。

「昔は走っている最中、イヤホンのコードが邪魔だったりして大変だったけど、今はBluetooth®とかあってワイヤレスで聴けて便利ですよね。あの当時、今の最新機器があったらどれだけ楽だったか(笑)」

【次ページ】 1キロ3分台で走りながら、いつも音楽を聴いていた!?

BACK 1 2 3 NEXT
2/3ページ

ページトップ