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「ウルトラマラソン」世界記録保持者、
砂田貴裕を走らせる“原動力”。

posted2017/04/20 11:00

 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph by

Wataru Sato

「とにかくメンタルですよ。あきらめない気持ちをもつことが一番」

 ここ数年注目を浴びている「ウルトラマラソン」の世界記録保持者である砂田貴裕氏は、100kmにも及ぶ長丁場を走り抜くためのコツを以上のように語った。肝心なのは気持ちだ、と。

 砂田氏は1998年6月、サロマ湖100kmウルトラマラソンに出場し、6時間13分33秒の世界記録で優勝した。この記録は19年経った現在もやぶられておらず世界の陸上界における金字塔として燦然と輝いている。そもそも砂田氏は長距離陸上界の名門・積水化学工業に所属していた選手であり、2000年9月のベルリンマラソンでは2時間10分08秒の自己新記録で4位に入ったこともあるエリートランナーだった。

2000.09 ベルリンマラソンで自己ベスト2時間10分08秒で4位に入った。

 ウルトラマラソンへの出場は「ケガをしたあとにスタミナを強化するために走ってみようと思った」ことがきっかけだったという。現在は日本陸上競技連盟の仕事などをしつつ、一市民ランナーとしてアマチュアランナーの指導なども行っている。

 ウルトラマラソンの特異なところは体力的な問題以上に、走っていると次から次へと襲ってくる各部位の“痛み”との戦いだと多くの経験者たちは語っている。

「僕は疲労骨折なんかもしたことあるんですけど、走っているときいかにその痛みを忘れることができるか。無になるというか、気を紛らわせて集中することで結果に繋げるんです」

1999.05 フランスで行われた100kmのIAU世界大会に出場。6時間26分06秒を記録し、3位で表彰台に上った。

 そう簡単な話でないことはわかるが、こういうとき砂田氏の頭の中には「走るリズムを一定に保ち気を紛らわせてくれる効果がある」という“音楽”が流れているという。

【次ページ】 「音楽がなければ、僕のランニング人生もなかった」

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