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モウリーニョがファンハール化?
マンUの現実路線はプレミアよりEL。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2017/04/09 07:00

モウリーニョがファンハール化?マンUの現実路線はプレミアよりEL。<Number Web> photograph by Getty Images

その一挙手一投足が注目されるモウリーニョ。そのカリスマ性はいまだに指揮官として最高峰である。

CL出場権を得るために、EL優勝を狙っては?

 この状況であれば、いっそのこと逆に開き直ってみてはどうか?

「ヨーロッパリーグ優先」を唱えるのだ。

 昨季のマンUは4位以内確保が難しくなると、ファンハールはヨーロッパリーグ優勝でCL出場権を得る方針に転換した。結果的には16強敗退で失敗に終わったのだが、今季は既に8強入りを決めている。

 片やプレミアではチェルシー、トッテナム、マンC、アーセナルとの強豪対決が残されていることもあり、昨季と同じ5位でのフィニッシュが精一杯とする見方が、前述のファーディナンドを含む識者の間でも強い。

 就任当初からクラブ、自分にとって相応しい舞台はCLだと公言するモウリーニョにとって、ELは格下の大会でしかない。だが、来季もCLに出場できないとなれば、指揮官が獲得候補をフロントに伝達済みとされるストライカー、ボランチ、CB、左SBの4ポジションの補強も進めづらくなる。

イブラヒモビッチの心をつなぎとめるためにも。

 同時に、監督もファンも契約延長を望んでいるイブラヒモビッチが、次なる新天地を求めて去りかねない。来季は36歳になるが、ここ一番での決定力、精神力、そしてラッシュフォードら若手への影響力を考えれば引き留めたい。そのためにも、いまだに「できれば避けたい」と言い続けるEL重視へと腹を括る意味はあるだろう。

 プレミア最終節3日後に訪れるEL決勝の舞台はスウェーデン。奇しくもイブラヒモビッチの祖国優勝を決めれば、来季CLへの出場資格と共にベテランFWとの新契約を手に入れられるだろう。もしモウリーニョ自身が2月のリーグカップ優勝時と同じく冷めていたとしても、マンUファンは「ジョゼ・モウリーニョ!」と指揮官の名前を歌い上げるだろう。

 4月16日のチェルシー戦を挟んで行われるアンデルレヒトとのヨーロッパリーグ準々決勝2試合。そこでの“ジョゼ・ファンハール”の決断が楽しみだ。

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