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強豪の激突、似た者同士の伏兵対決。
CLベスト8の4カードを大いに分析。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2017/04/10 07:00

強豪の激突、似た者同士の伏兵対決。CLベスト8の4カードを大いに分析。<Number Web> photograph by AFLO

輝きを放つビッグイアーをカーディフの地で掲げるのはどのクラブか。欧州最高峰の戦いがクライマックスを迎えようとしている。

アンチェロッティとジダンの師弟対決が最大の注目。

 ジダンの前に立ちはだかるのは、師のカルロ・アンチェロッティだ。

 57歳のイタリア人指揮官は、前職のマドリー監督時代にアシスタントのジズーとベンチを共にしていた。どちらも選手と監督の双方でCLを制しているが、指導者としてのキャリアはこちらが上だ。

 現在の名称となったこの大会を3度制している監督は、アンチェロッティのほかにいない。就任一年目の今季は、ブンデスリーガで新興勢力ライプツィヒに首位の座を譲った時もあったが、今ではそんなことも忘れるほど、例年通りの無双ぶり。CL16強では2試合合計10-2と、大会史上2番目の得点差をつけてアーセナルを屠った。

 ともにフットボール界きってのエリート指揮官が率いる二大勢力は、シンプルに強さを誇示する。複雑な戦術がなくても強い名門同士の対戦を制した方が、またひとつタイトルを増やすことになるだろうか。ちなみにシャビ・アロンソが現役最後のシーズンにCLで優勝すれば、リバプール、マドリーに続いて異なる3クラブでこのタイトルを手にした2人目の偉人となる。

アトレティコはシメオネ流の基本に立ち返った。

<アトレティコ・マドリー対レスター>

 過去10年で唯一、スペインとイングランドにおけるリーグタイトルの寡占を崩した愛すべきチームが手を合わせる。

 3シーズン前にリーガを制したディエゴ・シメオネ監督のアトレティコは、その後にCLで2度決勝にたどり着きながらも準優勝に終わった。これにより、46歳のアルゼンチン人指揮官には自発的なスタイルへの逡巡が生まれたが、方針転換はうまくいかず、今季は国内で取りこぼしや黒星が増加。

 そこからいま一度基本に立ち返り、得意の逆襲は徐々に鋭さを取り戻し、レバークーゼンとのベスト16では敵地での第1戦で4得点を奪って勝負を決めた。

【次ページ】 降格圏を脱しつつあるレスターが再びミラクルを?

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