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死角がどうにも見当たらない……。
桜花賞はソウルスターリングの一強。

posted2017/04/08 09:00

 
死角がどうにも見当たらない……。桜花賞はソウルスターリングの一強。<Number Web> photograph by Kyodo News

チューリップ賞も最後は手綱を緩めての勝利だったソウルスターリング。桜花賞ではこの馬のMAXが見られるか。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Kyodo News

 世界の競馬史に輝かしい足跡を刻みつけた「怪物」の娘が、新たな伝説のヒロインとなるのか。

 牝馬クラシックの皮切りとなる今年の第77回桜花賞(4月9日、阪神芝外回り1600m、3歳牝馬GI)は、飛び抜けた「一強」をめぐる争いになりそうだ。

 その一強とは、昨年の2歳女王にして、年明け初戦のチューリップ賞を制した4戦4勝のソウルスターリング(父フランケル、美浦・藤沢和雄厩舎)である。

 父フランケルは、現役時代イギリスで調教され、14戦14勝、うちGI10勝という驚異的な戦績を残し、2013年に種牡馬となった。種牡馬としての価値を保つため、世界中から良質な牝馬だけを選んで配合相手を130頭に絞った。そうして翌'14年に誕生した初年度産駒の1頭が、このソウルスターリングである。

 母スタセリタ(その父モンズーン)はフランスとアメリカの厩舎に所属し、GIを6勝した名牝。つまり、ソウルスターリングは「16冠ベイビー」というわけだ。

 母の全18戦のうち6戦に、娘のソウルスターリングと同じクリストフ・ルメールが騎乗し、サンタラリ賞、フランスオークス、ヴェルメイユ賞と3つのGIを制している。

 名門・社台ファームで生まれた世界的良血。それを、現役最多の通算1343勝(3月26日終了時)を挙げ、うちGI24勝という伯楽・藤沢和雄が管理し、母の乗り味を知る名手・ルメールが手綱をとる。

馬群も、重馬場も、死角が見当たらない。

 はたして、ソウルスターリングに死角はあるのだろうか。

 重厚な欧州血統が、日本の育成・調教技術で素軽いスピードと切れを身につけた。

 昨年7月の新馬戦こそ首差だったが、その後の3戦はワンサイドゲームという圧倒的な強さを誇る。

「前走後も穏やかです。カイバも食べているし、順調です」と藤沢調教師は悠然と構えている。

 どこからでも競馬ができ、馬ごみも嫌がらないし、最後に確実に速い脚を使う。時計の裏付けもある。

 週末は雨が予想され、馬場が渋りそうだが「母の父がモンズーンだから、重い馬場も問題ない」とルメールは話している。

【次ページ】 桜花賞はとりわけ波乱の多いレースではあるが……。

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