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押し込まれ、振り回された4-0。
タイに苦戦するハリルJの真実。 

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/03/29 11:25

押し込まれ、振り回された4-0。タイに苦戦するハリルJの真実。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

川島永嗣が目立つということは、シュートを打たれているということである。タイ相手にその試合展開はまずいのでは……。

久保が3点目を取っても、守備の粗が消えない。

 どうやったらリズムを変えられるのか。選手たちの表情にはっきりとした戸惑いが浮かぶなかで、57分にスコアが動く。スローインを受けた久保が、パンチ力のある左足シュートで3点目をゲットしたのである。

 試合内容はともかくとして、ゲームの行方は見えてきた。66分、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は原口元気に代えて本田圭佑を起用する。74分には香川を下げ、清武弘嗣を送り出す。

 本田のポジションは、いつもの右ではなく左サイドだった。UAE戦に出場していない清武のコンディションも万全とは言いがたい。彼らの投入に即効性を求めるのは、難しかったかもしれない。

 だが、ディフェンスは別である。3-0としてもなお、タイに振り回されてしまうのだ。1対1のデュエルでいなされ、ボールホルダーを追い越す動きについていけない。リードしているのは日本だというのに、アウェイチームの躍動感ばかりが目についた。

落ち着きのなさを象徴する、84分のPK献上。

 日本の落ち着きのなさを象徴するのが、84分のPK献上である。直前に吉田麻也が左CKからヘディングシュートを決め、リードを4点差に広げていた。

 もはや勝敗は決している。残り時間で考えるべきは、無失点でゲームを締めることである。それなのに、自陣深くへの侵入をあっさりと許し、PKを与えてしまったのだ。長友のクリアが酒井高に当たる不運はあったが、どこか弛緩した空気が漂っていたのは否定できない。

 川島のPKストップで失点を許すことはなく、日本は4-0で勝利をつかんだ。UAE戦との2試合を通してみれば、久保が2得点3アシストを記録し、香川と岡崎もネットを揺らした。取ってほしい23歳と取るべきふたりが結果を残したのは、今後につながっていくだろう。所属クラブで出場機会を得ていない川島も、頼もしいパフォーマンスを披露した。

【次ページ】 香川も、本田も、表情に厳しさを張り付けていた。

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