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押し込まれ、振り回された4-0。
タイに苦戦するハリルJの真実。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/03/29 11:25

押し込まれ、振り回された4-0。タイに苦戦するハリルJの真実。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

川島永嗣が目立つということは、シュートを打たれているということである。タイ相手にその試合展開はまずいのでは……。

急造コンビのボランチが、どうにもぎこちない。

 ここまで消化した6試合で勝点1しかあげていないタイは、この試合に負けると最終予選敗退が決まる。序盤から意外なほどアグレッシブに臨んできたのは、自陣に引きこもるだけでは勝点1の獲得さえままならないからだったのだろう。

 東南アジアからの来訪者を勇気づけた理由が、もうひとつあった。日本のボールの動かしかたが、どうにもぎこちないのである。

 UAE戦でMVP級の働きをした今野泰幸をケガで欠く中盤には、酒井高徳が起用されていた。所属するハンブルガーSVで馴染みがあるものの、日本代表では初めてとなるダブルのポジションで、山口蛍とコンビを組んだ。

 ボールの経由先となるダブルボランチが、急造の組み合わせなのである。選手同士の距離感や角度に、微妙なズレが生じていたのかもしれない。

前半のシュートは同数、CKはタイが上回った。

 それにしても、日本の戦いは滑らかさを欠いた。開始早々のボールロストは修正のきっかけとならず、不用意なミスが積み重なっていく。ボールをつながれることに焦り、強引にボールを奪い取ろうとしてプレスを剥がされるシーンも頻発する。自分たちで試合のリズムを手放し、タイに希望を抱かせてしまうのだ。

 前半のシュート数は6対6のイーブンだった。CKはタイが上回った。相手のレベルがもうワンランク上なら、そしてGK川島永嗣の好セーブがなければ、2-0でロッカールームへ戻ることはできなかっただろう。

 リードをしているのにゲームのリズムが良くない時間は、ハーフタイムを挟んでも変わらない。後半開始直後の51分、右CKから決定的なシュートを許し、続いて与えた左CKにも冷たい汗をかかされてしまう。ハーフタイムの修正を、ピッチ上で読み取ることはできなかった。

【次ページ】 久保が3点目を取っても、守備の粗が消えない。

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