マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER

2017年の高校野球はスラッガーの年。
明徳・西浦、秀岳館・木本、そして。 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2017/03/17 07:30

昨年夏、嘉手納戦で満塁ホームランを放って叫ぶ明徳義塾の西浦颯大。馬淵監督が優勝を宣言するのは、よほどのことである。

昨年夏、嘉手納戦で満塁ホームランを放って叫ぶ明徳義塾の西浦颯大。馬淵監督が優勝を宣言するのは、よほどのことである。

外野手だが、ショートでも夢見てしまう身体能力。

 全身の柔軟性は、生まれ持っての才能なのか。しなやかに全身を巻き上げるような回転から、プロ顔負けのスイングで長打を放つ。

 バッティングの才能と、その瞬発力のすさまじさには、オリックス・吉田正尚がそのまま重なる。「侍ジャパン」にどうして選ばれなかったのか…それほどのプロ有数のスラッガーの本質が、そのままこの西浦颯大に備わっていると見る。

 あわせて、俊敏な身のこなしのフィールディング。センバツでは外野のどこかを守るのだろうが、本人にその覚悟があるのなら、将来は遊撃手として可能性を追ってほしいほどの身体能力の持ち主。今、2015センバツV投手・平沼翔太(敦賀気比)が日本ハムのファームで遊撃手修業で泥にまみれる毎日を送っているが、“フィジカル”の素質なら、西浦颯大が一枚上と見ているのだが……。

去年もすごかったが、今年も秀岳館の打線は重量級。

 秀岳館(熊本)は、このセンバツも重量級の強打線を組んで乗り込んでくる。

 昨夏の秀岳館も、打線がすごかった。松尾大河(現・DeNA)、九鬼隆平(現・ソフトバンク)、天本昂佑(日本文理大進学)……見るからに飛ばしそうな体格と豪快スイングの打者たちが、次々と打席に現れる威圧感。その迫力通りの長打を左右に飛ばして、全国4強に勝ち進んだ。

 その中で、いちばん“真っ当”なスイングをしているな……と感心させられたのが、実は当時2年生の右打者だった。

 木本凌雅(3年・181cm78kg・右投右打)。昨夏は一塁手だったが、この春は三塁手としての登場になりそうだ。

 秀岳館といえば、ストライク2つ取られてからのノーステップ打法が話題になった。空振りの三振を避けるために方策のようだが、秀岳館の“成功”を受けて、徐々に全国にも広まりつつある。

 足首、ヒザ、股関節……。正座をしない、あぐらもかかなくなって、下半身の関節に意識の届きにくくなった今の高校生たちには、かなりハードルの高い高等技術だと思うが、昨夏の強打線の中でも、最も自然にこなしていたのが、この3番打者・木本凌雅だった。

【次ページ】 ボールが勝手に木本のポイントに吸い込まれる錯覚。

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