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<2017年さらなる飛躍へ>
山本昌、注目の8人を語る。

posted2017/03/29 11:30

 
<2017年さらなる飛躍へ>山本昌、注目の8人を語る。<Number Web> photograph by Wataru Sato

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

PROFILE

photograph by

Wataru Sato

自身の可能性を信じ、努力を重ねる選手たち。そこではベテランも若手も関係ない。今年のプロ野球を面白くするセ、パ注目の8人を山本昌が語る。

投手編

大谷翔平(北海道日本ハムファイターズ)

進化し続ける史上最高の逸材。

 80年を超えるプロ野球の歴史でも最高の素材といえます。160kmの剛速球を投げて、3割22本を打つんですから。

 投手大谷は、まだ粗削りです。インタビューで本人は、ストレートがシュート回転することが課題だと話していました。制球もアウトコース一辺倒。変化球もスライダーくらい。でも、いくつも課題を抱えながら勝ってしまう。末恐ろしいことです。

 大谷投手には、底知れぬ才能が眠っています。それが覚醒するには、矛盾するようですが、勝てなくなる時期が必要かもしれません。人間、壁に直面すると本気になりますからね。イン、アウトの出し入れ、さらに緩急といった投球術を身につけたら、文字通り無敵の投手になるでしょう。

打者大谷には「インハイの速球」を。

 打者大谷も一流。通常の野手の半分も打撃練習をしていないのに、昨季は打率.322で22本塁打。これで投手に専念しろ、といえなくなりました。嬉しい悩みですね。

 彼の打撃は緩い球は右方向に引っ張り、速球は左方向に流すという特徴があります。どんなボールでも体勢を崩さず、しっかりと反応する。それができるのは、タイミングの遅い振り出しでボールを見極め、速いスイングでボールを捉えているからです。

 打者大谷と対戦するとしたら、インハイの速球が有効でしょう。でも僕には速いストレートがないので、アウトローの変化球で勝負するしかないですね。これでは苦しい。ヒットで済めば御の字かな?

 投手大谷と打者大谷はどちらも七分咲き。史上最高の選手が花開く瞬間を見守ることができるのは、僕らの特権かもしれません。

松井裕樹(東北楽天ゴールデンイーグルス)

伝家の宝刀スライダーの威力。

 高卒でプロ入りして4年目。線は細いですが、パ・リーグを代表する抑え投手のひとりになりました。緊張感が漂う最終回のマウンドに立ち、堂々と腕を振る。21歳には、なかなかできないことです。

 松井投手のいちばんの強みは、鬼のように落ちるスライダー。高校時代、甲子園で22奪三振を記録した決め球は、人間の動体視力を超えています。投球回数を上回る三振が取れるのは('16年は62.1回で75個)、松井投手にしか投げられない、このボールがあるからこそ。ボールが落ちるのは、リリースポイントが真上にあるからです。

消えるスライダーをもっと!

 もっとも、プロ入りしてから徐々に投球スタイルが変わってきました。代名詞だったスライダーは減り、チェンジアップを多投しています。僕は「消える」スライダーをもっと見たいと思っていますが、ワンバウンドするリスクもあるので、キャッチャーの後逸が気になるのかもしれません。

 狙ったときに三振が取れる。こういう投手はプロでも、そうはいません。その意味で、間違いなく抑え向きです。しかし、入団直後のように先発で投げる姿をまた見たいもの。当時は制球が不安定でしたが、もうあのころの松井投手ではないでしょう。

 体力がつき、チェンジアップに続いてカットボールも習得。いま先発のマウンドに立てば、かなり勝てるんじゃないでしょうか。先発では全力投球を続ける必要はなく、いろんな球種を投げる余裕がある。そう考えると、伝家の宝刀のスライダーで三振の山を築く、無敵の松井投手が甦るかもしれません。いまも十分に凄いですけどね。

【次ページ】 全盛期のストレートが戻ってきた涌井。

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