秋山の姿は、若手にも確実に刺激を与えていた。

　メイングラウンドで内野のノックが始まれば、本来であれば次の練習の準備に入っていいはずの、外野手の秋山が率先してボール拾いをする。朝の個人練習ではマシンに向かって黙々と打ち込む。居残り練習も同様だ。宿舎に帰るのはいつも入団2～3年目の若手と同じ、夕食ギリギリの時間だった。

「秋山さんのああいう姿を見ると、自分たちがやらないわけにはいかない」と、もともと練習量の多さには定評のある2年目の外崎修汰も目を丸くするほどだった。

　ライオンズはWBCの強化試合で骨折した森を欠いたまま開幕を迎える。正直、苦しいスタートとなった感は否めない。しかしキャンプでのライオンズを見る限り、現有戦力で上位を目指すのだという覚悟や危機感は十分、それぞれの選手から伝わってきた。

　中村、秋山らの主力選手の覚悟。そして上本、渡辺らベテラン勢の黒子に徹した働きに、若い選手がどこまで応えられるのか。若手の覚醒にも期待したい。