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WBC、西武ともに同じ覚悟を持って。
秋山翔吾は「For The Team」の塊。 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byNanae Suzuki

posted2017/03/15 07:00

WBC、西武ともに同じ覚悟を持って。秋山翔吾は「For The Team」の塊。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

WBCで活躍を見せる秋山。国際試合で得た貴重な経験は、西武に戻った時にも生かされるはずだ。

口数が少ない中村剛也も叱咤激励するように。

 そして最も変化を見せたのが中村剛也だ。

 もともと、口数は決して多いほうではない。そんな中村がこの春キャンプでは人一倍、大きな声を出し、若手を叱咤激励しているのが印象的だった。

 その姿勢は練習量にも表れている。1月の自主トレーニング開始時から精力的にトレーニングルームにこもり、体作りに励んだ。「何度かひざを痛めていることもあって、そのリハビリと周辺筋肉の強化を主に行った」(中村)と、体脂肪を減らし筋肉量をアップした。そして、その状態のまま春季キャンプをスタート。内野の守備練習ではキレのある動きを随所で見せていた。

 心身ともに充実していたのだろう。午後2時ごろまで行われる全体練習のあと、個人が日替わりで守備や打撃、体力強化のトレーニングを行う「個別練習」にも連日、参加し、コンディションの良さを体現していた。

 2014、'15年と2年連続で30本以上の本塁打を記録したが、昨季はレギュラーになってから初めて、故障ではなく不振による二軍落ちも経験した。だからこそ今年にかける意気込みは人一倍強い。開幕直後、最も注目すべき打者になりそうだ。

「チームのことも考えて、ヒット数も増やしていく」

 そして野手で、もう一人のキーマンが侍ジャパンの一員として奮闘する秋山翔吾である。今年、プロ入り7年目。一昨年はシーズン最多の216安打を記録し、昨年も全試合に出場した。本人は「中途半端だった」と語るが、若い金子侑司をアシストし、金子の盗塁王獲得のために尽力した。

「とにかく目標は優勝です。そして、優勝するために、個人的に何をすればいいのかと考えると、もう一回、200以上のヒットを打ちたいという思いがあります。もちろん、簡単なことではありません。とても難しいけれど“チームのことを考えているから、自分の成績は上がらない”というのでは恥ずかしい。チームのことも考えて、それも達成した上で、確実にヒット数を増やすことを求めていきたいですね」(秋山)

「For The Team」の思いと、個人の目標とのバランスをとることは難しい。しかし、その両方を達成したいという思いは、キャンプ中から秋山の行動に表れていた。

【次ページ】 秋山の姿は、若手にも確実に刺激を与えていた。

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