佐山に長州、闘魂三銃士、棚橋と中邑、そしてオカダ。

　それから。

　タイガー・ジェット・シンの戦慄。

　猪木とストロング小林、大木金太郎らとの殺伐とした戦い。モハメド・アリ。

　佐山聡のタイガーマスク。IWGP。長州力という嵐。

　武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也。

　両国国技館7連戦。ドーム・ツアー。

　時代の流れの中で、新日本プロレスは爆発したり、沈みかけたりした。試行錯誤を繰り返し、生き残って今日に至った。今思えば、爆発的なブームは狂乱的だった。

　棚橋弘至。中邑真輔。

　そして、もう一人、オカダ・カズチカ。

　たぶん、猪木と彼らをつなぐものはほとんどない。猪木は「もう棚橋くらいしか知らないなあ」という。中邑のヒザでのフィニッシュ、ボマイェ＝キンシャサがアリ経由でつないでいると言えばいえる。

真夏の上野毛の道場は過酷な灼熱地獄だった。

　でも、もし、過去と現在をつないでいるものがあるとしたら、上野毛の道場だけだろう。

　かつて猪木が住んでいた場所。そこに真っ先に建てられた道場では多くのレスラーが汗を流してきた。真夏の道場は過酷な灼熱地獄だった。スクワットを続けると足元の床には、汗の水たまりができた。逆に誰もいなくなった深夜の道場は、暗闇と孤独な静けさが心を落ち着かせてくれた。好んで夜に道場に通うレスラーもいた。

　時は2017年3月6日。場所は大田区総合体育館。オカダ・カズチカvs.タイガーマスクW。新日本プロレスが旗揚げ45周年記念試合として用意したカードだ。いや、IWGP王者オカダがタイガーマスクWを指名する形で実現したと言った方が正しい。

「現実を見せる」とオカダは5日前に後楽園ホールの観客に約束した。

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