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内川聖一の決意
「34歳で挑む、3度目の世界」

posted2017/03/09 18:00

 
内川聖一の決意 「34歳で挑む、3度目の世界」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

PROFILE

photograph by

Hideki Sugiyama

 8年の時を経て、国民の記憶は限定的だ。

 2009年の第2回WBC決勝、10回表にイチローが林昌勇から放ったセンター前へのクリーンヒット。映像によって幾度となく再生される明瞭な記憶の一方で、この試合3本目の安打でチャンスをつくり決勝のホームを踏んだ男の印象は薄い。

1 Seiichi Uchikawa
1982年8月4日、大分県生まれ。福岡ソフトバンクホークス所属の外野手、内野手。侍ジャパンとして、’09年、’13年のWBCに出場。185cm、93kg。

 4年の時を経て、国民の記憶は鮮明だ。

 2013年の第3回WBC準決勝、2点を追う8回裏1アウト一、二塁の場面。「行けたら行け」の重盗のサインに飛び出した一塁走者は直後、塁間で行き場を失った。ベンチに帰り、天を仰ぐ。この大会といえば必ず切り取られるワンシーンだ。

 天国と地獄を知る男――。

 侍ジャパン唯一の3大会連続選出で第4回WBCに臨む内川聖一は、そう形容される。間違いではないが、十分でもない。内川は、“天国”では脇役であり、“地獄”において主役となったのだ。

 だからこそ、再びの世界一に懸ける気持ちはなおさら強い。

 前々回大会は26歳、前回30歳、そして今回は34歳。

 間隔の空く国際大会の代表歴を重ねることはすなわち、年齢を重ねるということでもある。チーム内での立場、心境、フィジカル、すべてが変わるということでもある。

今回は代打とか、いろいろな状況の中でやらなければ。

 内川は言う。

「毎回、感じるところは違いますね。26歳の時は(片岡易之とともに)野手最年少で、先輩たちについていくだけでいっぱいいっぱいだった。前回は中軸を任されて、今回は代打とか、いろいろな状況の中でやらなければならない。ほかの選手たちの年齢をふと見た時に、『みんな若えなあ』と(笑)、ちょっとうらやましくも感じました」

 両リーグで首位打者を獲得、過去9シーズンで8度の打率3割超えを達成してきたヒットメーカーも、己の年齢と向き合うことは避けられないという。

「意識したくはないけど、意識せざるをえない。正直、疲れはすごく残るようになりましたし、朝、起きた時の感じが若いころとはまったく違います。昔は、寝りゃあ何とかなるっていう感覚でやってましたけどね……」

【次ページ】 王球団会長がふと漏らした言葉が記憶の脳裏に。

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