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札幌の魂・河合竜二のマリノス愛。
古巣に伝える「まだやってますよ」。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2017/03/03 11:00

札幌の魂・河合竜二のマリノス愛。古巣に伝える「まだやってますよ」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

一般的な知名度が高いのは小野伸二と稲本潤一だろう。しかしクラブの苦楽の歴史を知る河合こそ、今の札幌を象徴する選手である。

「竜二はコンサドーレをワンランク上にしてくれた」

「あの時はすべてが足りず、敗戦が続いて負の連鎖に陥っていった。今回も厳しい戦いになるはずだけど、北海道で唯一のJクラブの価値を高めるためにも、J1に定着しないとね。だから毎日が勝負だよ。チームも個々も、常に少しでもレベルを上げていく必要があるから」

 浦和レッズで6年、横浜F・マリノスで8年を過ごし、2011年に札幌に移籍すると、即座に主将の腕章を託され、チームのために力を尽くしてきた。かつて“ミスターコンサドーレ”と呼ばれ、2015年に現役を引退した砂川誠氏は共にプレーした背番号4について、こう話す。

「竜二はチームの向上のためには、嫌われ役になることを厭わないです。試合や練習では仲間の年齢にかかわらず、誰にでも強い口調で叱咤します。でもピッチを離れると、チームメイトを食事に誘ったり、たわいのない話をしたりして、率先してコミュニケーションを取る。そこでみんな、分かるんです。厳しい言葉も、チームや仲間を思ってこそのものだと。竜二はコンサドーレをワンランク上のプロクラブにしてくれたと思います」

札幌サポーターの熱狂度は浦和にも引けを取らない。

 同僚の内村圭宏が「すべてが大きい」と評する河合は、高校時代から“鬼足”と言われるほど大きな足(30.5cm)を持っていただけでなく、懐も深かった。そして仲間から慕われていた。あれから20年あまりの歳月を経て、日本最北端のJクラブのドレッシングルームにも似た景色があると想像する。

 入団と同時に家族を連れて札幌に移住すると、本人だけでなく、家族もすっかり当地を気に入った。子供たちは北海道弁を話し、ジンギスカンが大好きだという。今では河合のコンサドーレへの愛情は「めちゃめちゃ」大きい。

 特にファンには感謝の気持ちを片時も忘れたことがない。熱狂的で知られる浦和のサポーターにも「引けを取らない」彼らは、「敵地でもホームのような雰囲気を醸し出してくれる」と言う。

【次ページ】 「人生が変わった」チャンピオンシップの決勝点。

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齋藤学

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