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ハーデン&ロケッツ好調の理由。
NBAの“モーレイボール”って何?

posted2017/02/07 11:30

 
ハーデン&ロケッツ好調の理由。NBAの“モーレイボール”って何?<Number Web> photograph by Joe Robbins/Getty Images

ロケッツのエース、髭がトレードマークのジェームス・ハーデンは、2月19日開催のオールスターの先発メンバー。

text by

長澤壮太郎

長澤壮太郎Sotaro Nagasawa

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Joe Robbins/Getty Images

 今、西カンファレンス上位にいるヒューストン・ロケッツだが、その戦術スタイルは賛否両論である。

 1994年にハキーム・オラジュワン、'95年にクライド・ドレクスラーを加えて2度優勝したことのあるチーム。その後もヤオミンやトレイシー・マグレイディなどスター選手が活躍したことはまだ記憶に新しい。

 ヤオミン、マグレイディの時代が終わりを迎え、ロケッツは球団を立て直す時期に突入した。ちょうど同じ頃の2006年、セルティックスで働いていたダレル・モーレイが、アシスタントGMとしてロケッツに雇われた。

 翌年、GMに昇格したモーレイが目指してきたスタイルこそ、今のNBAを革新的に変えている。

「マネーボール」ならぬ「モーレイボール」??

 マサチューセッツ工科大のビジネススクールでMBAを取得した彼は、いわゆる“叩き上げのバスケ人”ではない。学生の頃から競技レベルで活躍した人間でもない。しかしスポーツ界(特にバスケットボール)でGMになりたいという強い野望を持っていた彼は、自分の特技である分析力を最大限に活かした。

 セルティックスがデータ管理を外注するコンサルティング会社に入社し、そこからセルティックス入りに成功し、業界人の仲間入りを果たしたのだ。

 ロケッツのGMに昇格してからは、さらにデータ分析に磨きをかけ、“モーレイボール”(MLBを舞台にした映画『マネーボール』のもじり)論を確立。

 徹底的に効率と確率論の面からバスケットボールを科学的に分析し、従来のセオリーとは異なるスタイルを確立した。ルールを最大に活かし、いかに効率良く勝てるかを追求した結果、辿り着いた答えは、スリーポイント(特にコーナーのスリー)とゴール下(またはダンク)とフリースローの三箇所を主体に攻撃し、技術的に難しく2点にしかならないミドルレンジのシュートを排除するシステムだった。

【次ページ】 数字オタクのGMが発明した、あまりにも奇妙な戦術!?

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