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シャビは確かにバルサを愛していた。
強烈な家庭と、理想のチームと。 

text by

濱口陽輔

濱口陽輔Yosuke Hamaguchi

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photograph byWataru Sato

posted2017/01/30 08:00

シャビは確かにバルサを愛していた。強烈な家庭と、理想のチームと。<Number Web> photograph by Wataru Sato

シャビとバルセロナ。相思相愛の関係性は永遠に続く。

恩師が毎日のように言っていた「自覚と理性」。

「あのシャビという子は特別な選手だ。4、5年もすれば間違いなく自分のポジションを脅かす存在になるだろう」

 当時、グアルディオラはそう発言している。事実、4年後には共にプレーし、さらに先の未来ではグアルディオラが監督として、シャビが選手としてチャンピオンズリーグを制する事になる。

 シャビの恩師の1人であるマネル・ロボが毎日のように言っていた言葉がある。

「サッカー選手という自覚と理性を持って行動することだ。自己管理ができない者は大成しない。サッカーの世界でもなんでも、トップレベルを目指すのであれば何かを犠牲にしてでもやり遂げる覚悟が必要だ」

 ロボの言葉に、カンテラの全てが集約されている。

ファン・ハールの暗黒時代から黄金時代へ。

 筆者が最初にバルサを見たのは1998年、ファン・ハール1次政権の時代だ。戦術マニアのオランダ人監督は、かつての教え子であるオランダ人選手を大量に加入させて批判を浴びたが、リーガ2連覇と実績を残していた。

 その後バルサはタイトルから遠ざかる暗黒時代に突入するのだが、一方で育成を大事にする監督でもあった。彼がトップチームデビューさせた1人の若手選手がシャビだった。

 暗黒時代を経て、2005-2006シーズンのチャンピオンズリーグ制覇から黄金時代が始まる。翌シーズンの「大失敗」、そしてスペイン代表として2008年の欧州選手権を制した頃をシャビ自身はこう振り返っている。

【次ページ】 「いつもチームメイトのことを考えるのが理想だ」

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